第4話
無限の時が流れ去ったあと、彼がそこに見たものが、果たして本当に彼の求めていたものだったのか、彼にはわからなかった。
今、彼の頭上には”壁”があった。天上の果ての青い壁。彼はゆっくりと、それに近づいた。
その瞬間-!
壁がいきなりはじけた。と、同時に激しい振動が彼を襲った。声を上げるまもなく、彼には何が起こったのかすらわからなかった。何かが急速に迫っていた。それは、彼の周囲を取り囲み、その輪は彼を中心に狭まりつつあった。
しまった!
そう思ったときには、すべてが手遅れとなっていた。輪は彼を含め、彼の”仲間”も”敵”も”えさ”も何もかも包み込み、捕らえていた。
青い壁の向こうの、もっとも怖ろしいものに、彼は捕まったのだ。
体が、上へ・・・上へ・・・と引き上げられていくのがわかった。青い壁が近づいてくる。
--この世界から離れれば、お前は死を迎えるだけだと、あれほど言ったのに・・。
声が、聞こえた。
--でも、見たかったんだ・・・この世界の果てを。知りたかったんだ・・・この世界がどうなっているのかを・・・。
それに・・・と、彼は思った。あのまま暮らしていても、いつかは死を迎えたのだと・・・。
彼の意識は消え、彼の想いもまた消えた・・・。
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