第4話 未来の場合2
時々友加里さんが
独り言を言っているのが
気になって
黙って聴いてると
友加里さんの
自分の愛する人のことを
語っていることに
気づく
だいたい毎日
同じ時間に
同じ内容で
友加里さんの昔の恋の思い出は
今のわたしにも突き刺さる
恋してはいけない人
その先に幸せはないことを
教えてくれるかのように
わたしに戒めるかのように
私の好きな人も
妻子がいるのだ
友加里さんと違うのは
まだバレてないことと
わたしは
その人の子を身篭ったこと
友加里さんの独り言が
止まる
覗くと
涙を流して
「あの人に会いたい」と
言ってまた眠ってしまう
それを見届けて
事務所に戻ると
彼がいた
この施設の責任者として
彼はいる
彼がわたしを見るなり
「話があるんだ…」
ドキッとしてしまう
わたしのこの体に気づいたのか
「来月からAI介護ロボットを導入することになったんだ」
全然違う話に安堵するも
「だから君は来月から辞めてもらうことになる。急で申し訳ない。次の就職先は僕が探すから…」
なんとなく
そんな風に言う彼に
どこか嘘も見え隠れしている
「バレたんだね、私たちのこと」
おどおどする彼は無言になる
「わたし、あなたと別れてもいいよ。でもね…あなたとの子は産むね」
そういうと
声にならない声で
驚いた彼の顔を思いっきり
叩いて
わたしは飛び出した
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