第4話 雨、雨、雨、雨
嫌いだ。あのセミナーも。他人の声も。自分の声も。女子高生たちの声も。自動車の音も。救急車のサイレンも。嫌いなものが多すぎる。みなさんどうして、私を仲間外れにするんですか。いや、ただの私の被害妄想か。誰に聞いても、誰に訴えてもそう答えが来るんだ。「すべてあなたの被害妄想だ」と。私にはそれが、「めんどくせえんだよおまえは。社会に迷惑をかけるんじゃない」と言われているようにしか聞こえない。世の中、私が嫌いなものが多すぎる。テレビも木枯らしもイオンモールも田園風景も、私は嫌いだ。今、私が好きなものといえば、Youtubeと朝の光ぐらいしかない。朝の光は生のパワーだ。私に生きる力を与えてくれる。といっても、毎日の求職者支援セミナーには行きたくはないのだが。
両親や友人にも、人前では緊張して喋れないということを相談したが、どうも皆ピンと来ないらしい。父にいたっては、私が他人と喋れないのは、私に教養がないからだと断定してきた。父は特に私が病気であるということを考慮しない。甘えているとしか思っていないようだ。
ああ……でもそんなことはどうでもいいのである。人と話がしたい。対等に話がしたい。気さくに声をかけたい。私の心は一生このまま孤独に終わってしまうのだろうか。
ふざけんじゃねえぞ!このクソ野郎!バカ野郎!何がおまえの被害妄想だ!人の気も知らないで!!!俺が今までどこまで苦労してきたかおまえにはわかるのか!?わからないだろう!見えないんだもの!精神疾患は目に見えない!骨折したら一目でわかる!しかし精神病は目に見えない!だから当事者が訴えるしかないんだ!そうするとどうなるとおもうかね?「またあいつが甘えたことを言っているぞ」「どこか辛いんだかまったくわからんわい」「ああいうやつがいるから日本が悪くなる」
精神疾患を負った諸君。わが同胞(はらから)よ。今こそ声を上げるべき時が来たのではないか?今まで鬱屈した思いを社会から強制されて、言いたいことも言えずにただ我慢して生きているのはもう止めにしようではないか。私たちは社会という名のシステムから生み出されたゴミだ。ゴミとされるものだ。社会のごみ処理班が精神科医というものだったりするのだ。やつらの狙いはなにか。我々を生かさず殺さず(自殺したらしたでそれはかまわないが)今の鬱屈した状態で生殺しにすることだ。やつらは優越感を得ることができる。我々の生命パワーは間違いなく、やつらに日々吸い取られていっているのである。
「殺せ!」「いまこそ革命だ!」健常者どもの余裕ぶった顔を恐怖のどん底に叩き込んでやろうではないか。
「精神病者様の時代がくる」「健常者よ、さっさと道を開けろ!」
革命を!一心不乱の大革命を!奴らに我々の苦しみを思い知らせてやるのだ!
そしてこう言ってやるのだ!
「その状態でもまだ精神病は『甘え』だと思うかね?」とな!
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