質問5.風景描写、心理、人物描写において大切にしている事や読者により的確にイメージさせやすくするためにしている事はなんですか?
少し間があいてしまったので、似たことを書いてると思いますが(ので、また編集するかも)。読み返してみたら前回と似ている気がしますね。
まず「自分が体験したことしか書けない」というのは現在芯で持っているので、どんなふうに暑かった(寒かった)のか、どんなモノだったのかなどは、自分が見聞きしたもので表現することがあります。
たとえば「猫が外に出ようとして開けたサッシから顔を出すが、外の空気の冷たさにあきらめてこたつに戻った」とか。実際、むかし家にいた猫が真冬にこんな動作をしていたんです。
こういう表現にかえた、かわったのは、1999年か2000年ころです。おそらく人生の中でゆいいつ師事した方からうけた影響かなと思います。
それまでは中二病くさい言葉、辞書の硬い(固い)ことばをよく使ってたかなあ。書き方を「変えた」あたりからは、どこかにでかけた時などは、風景やらの雰囲気をざっとメモる(記憶にとめておくなど)ようにしています。
拙作の話であれなんですけど「海のおっちゃんになったぼく」ははじめ高校2年に書いていて、出版時の2006年前半にかなり見直しました。当時の編集の方と、なんどもFAXをやりとりして、電話で長く話をしました。
そして、絵本のあとがきに、私はその「大幅改稿」についても記載しています。
この「あとがき」では、絵本の単行本が出るまでの間に、岬町に行ったときに見た海辺の描写があります。コンクリートの波打ち際に、小さい海の生き物がぱらぱらといたんですよね。(ちりめんじゃこのパックを買ったら、たまにまぎれてる、小さいイカとか)
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そして、読者に、より的確にイメージしてほしい部分があるなら、それは「行間の空気を読め」ではなく、きちんと書くようにします。
漫画では、たとえば「主人公の部屋」があるとすると、それなりに書き込みがいるけど、小説だと行間で想像する余白が出ます。この物語において、重要であるなら、部屋の描写をすべきだし、どうでもよかったらしなくていいし、最低限書いておいて、読者に違うイメージを持たれないようにもできます。
そこで気を付けておくのは、(いま読んでいる本、「ファクトフルネス」にもあるんですが)「自分の常識は相手に通じない」ってとこです。
読み手が限定されてるなら、「ドラえもんののびたの部屋みたいな」でもいいですが、知らない人にはわからないですよね。また、「ベッドがひとつだけの部屋」だけでは、わたしは自分の実家の6畳の洋室をイメージしますが、ビジネスホテルのシングルルームを思いうかべる人もいれば、お金持ちの人は広々としてる、てんがいつきの寝室を考えるかもしれません。
大事な物語の、伝えたい部分をはずさずに伝えるには、どこまで詳しく書くのか、あるいはシンプルに書いてよいのか? 国語の作文の問題ならば、みんながみんな、同じ表現を同じ量で書くだろうけど、その判断は作者のあなたが自由に決められます。あなたの物語なのだから、自由ですし、感想や批判をうけて、どこまで書き直すのかも、自由です。
そのとき、読んでほしい人、俗なことをいうと「買って読んでくれる」人、かっこよくいえば「いまカネが流れている市場」にウケるために、どういう表現をするかとかに気を配れるかどうかが、いわゆる商業出版の作品を出せる人じゃないかなと思います。
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