第五章 猛犬の照り焼き

そんなこんなで俺達は経験値を上げながら城を探すためのヒントを得ようとしていたのだが。


アスカ「スライムしか見かけませんね……」

姫「あたしもう飽きましたわ。美味しくもないし。」

オカン「スライムなんかどう調理すればええんかわからへんわぁ」


本当にスライムしかいない。これでは経験値も中々上がらない。


師長「うーん、もしかしたら魔物同士で固まってるのかも知れない。この辺にはスライムが多いのかな?ま、私は猛犬に襲われたけどね、へへ」


いや笑えないから。


にしても流石にお腹が空いた。これでは餓死してしまう。


-ガサッ


アスカ「!、今物音がしました!」

姫「何事ですの?!」

師長「あ、猛犬だ」


師長棒読みじゃねーか!もうちょっと驚けよ!そっちに驚いたわ!


「ちょっと勇者、ごにょごにょ言ってる暇はありませんわ!こいつ動きが俊敏ですわよ」


なんか、姫には言われたくなかった、うん。

逃げる訳にはいかない。大事な食糧。て、


師長「ごめんねーーー!」


猛ダッシュで逃げていった師長。なんて役に立たないんだ。


「よし、俺が剣で」


-バコーンッ!


「え」


俺が剣を振りかぶる前にオカンが渾身の一撃!

しかも一撃を食らわせる時に姫の足を踏んだため姫のHPが2減少!魔物は無事撃沈!


「嘘だろ」


なんというチームワークの無さ。てかオカンつよ!

姫の足を踏まなければ完璧だったのに……

なぜだ。


しかも俺が出した剣は使わずじまいって……虚しすぎる。

オカンドヤ顔。


「なんか作ったるわ」


とか言いながらどこから出てきたかわからない調理具と調味料を取り出した。


勇者「やっとオカンが活躍できる場だ」


オカンは素早い手つきで猛犬を捌き、調味料を4つ持ちしながら器用に調理していった。しばらくして香ばしい匂いと肉の焼けるジュワーという音が、みんなの食欲を掻き立てた。


「できたでー!」


コトン、と石机(そこら辺にあった大きめの石を机代わりにした)に置かれたそれは、鳥の丸焼きの様な大きさのが4つほど。肉汁が溢れんばかりに出てツヤツヤだ。


アスカ「うわぁ、美味しそうです!」

姫「早く食べましょう!!!」


持参したマイナイフで肉を切ると、さらに肉の層の間から滴る肉汁。


勇者「やばい、もう美味い」


とか言いながら、一口サイズに切って大口で頬張る。


勇者「うんめーーーーーーー!!!!」


やばい、もう死ねる。

姫も目の輝きがより一層増している。


「照り焼きにしたったわ、名付けて猛犬の照り焼き!」


姫「そのまんまですの!」


アスカ「口に入れた瞬間に肉汁で口の中が満たされます……」


師長「犬の肉だから、歯応えがあって食べ応え抜群だね」


オカン「でもこの肉、歯応えあってもめっちゃ柔らかいでぇー!」


姫「何度噛んでも溢れる肉汁と照り焼きのこの味付け、相性抜群ですわ!」


お腹が空いていた俺達はそのまま鶏の丸焼きサイズ6つ分を簡単に平らげた。

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