空白の教室

あれから、僕は美香のごはんを食べた後、日直だからとわざとらしく嘘をついて足早やに学校へ向かった。美香はわかったと言っていたがその顔は少し落ち込んでいるようにも見えた。そして学校に着くと僕は教室にずんずんと向かった。はあ、なんで嘘をついたのか自分でもわからない。悶々としていたら、もう教室についていた。

ガラッとドアを開けると誰もいない教室に彩さんがいた。

「彩さん⁉」僕の席に彩さんが座ってにこっと僕に微笑えみを向ける。

「あら、誠随分早いのね。」彩さんはそういいながら手招きをしている。

「彩さんこそ。」僕は彩さんの手招きに答えずその場に立ちすくんだ。

「生徒会の仕事でね。一年の校舎に久々に来たのよ。私、一年二組だったのよ。」

机をなでながらニコニコと笑っている。

「そうだったんすか。」

彩さんは椅子から立ち上がり僕のほうへ歩いてきた。

「昨日の続きを話しましょうか。」

そう言って彩さんは僕の近くにある机に乗り、足を組んだ。

「あの後家に帰ったあと聞いたのよ。好きな人いるのばれたかもって。」

「…。」僕は黙った。

「あの子、あんたにだけにはバレたくないってずっと言ってたのよ。」

「…。」のどに何かがひっかっているのか言葉が出なかった。

「誠、あの子はモテるのよ。」そう言って彩さんは足を組み直した。

「まあ、それは知ってます。」三隅が言っていたのもあるが、。

「なのになんで誰とも付き合わないのかしらね。」彩さんは意地悪く笑い机から降りて、教室から出ていった。

僕は言葉の意味が理解できなかった。ただ単純に好きな人がいるからではないのかそう思った。僕だけにはバレたくないのも幼馴染だからではないのか。そんな疑問が頭に飛び交った。

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