放課後

六限目が終わるのは早かった。体育をしているクラスを見ていたらアッと言う間に終わっていたそし。そして帰りのホームルームが終わると、美香がいなかったので一年五組に向かった。アイツ遅くねえか。アイツのクラス担任よっさんだからいつも早いのにな。吉井先生通称よっさんはめんどくさがりで有名なのだ。一年五組に着くとやはりホームルームは終わっていた。アイツどこに行ったんだよ。一年五組を離れ階段を下りていく。

「お。西じゃん。」

げっ、よっさんじゃん。しかも資料を抱えている、ということは。

「西、これさ空き教室に運んでくんね?」

だろうな。予想はしていた。

「分かりました。」

律儀に返答をする。どうせ、美香探すついでだ。

「助かるわー。さんきゅー。」

ギッシと腕に資料が乗る。

「んじゃ。よろしくー」と肩をたたかれ、よっさんは理科室に入っていた。

さーて。空き教室に向かううか。資料をよいしょっと持ち直す。しばらく歩いていくと野球部の人が空き教室に入っていくのが見えた。なんだろなんかあったのか。

僕は少し駆け足で向かう。空き教室に着くと「お、俺と付き合ってください!」という声がドアの隙間から聞こえた。ま、まじかよ。告白シーンかよ。小さい窓から様子をうかがうとさっきの野球部の人と女の子がいた。その子の顔が光の位置でよく見えなかったが、シルエットでもかわいらしいと分かる。その子はしばらく黙っていた。

「ご、ごめんなさい。。好きな人いるんです。」と震えた声で答えていた。野球部の人は帽子を深くかぶり。「そっか。返事してくれてありがとう。」そう言ってドアのほうへ向かってきた。やばいやばい、僕は急いでそばにあったロッカーの陰に隠れた。野球部の人は運動場に走っていった。はあ。なんか悪いことしちゃったなあ。僕はロッカーの陰から出ていくと告白されたであろう女の子とぶつかってしまった。

「いった。」聞き覚えがある声だった。

「み。美香!?」

「あれ。まこちゃん?もしかして、聞いてたの?」

おどおどしながら訪ねてくる。

「い、いや、何も。」反射で否定してしまった。

「よかったあ」ホッとしたのか肩の力を抜いたようだ。

「あ、えっと、まこちゃん、資料?おきに来たの?」 

僕の抱えている資料を心配そうに見つめてている。

「あ。そうだそうだ。」

「えっと、ごめん。。今日は先に帰るね。」

「あ。ああ、」なんだかぎこちない返事をしてしまった。

「じゃあ」「おう。」

返事をして。僕は冷静を何とか装い空き教室に入った。資料を置くとなんだか頭がぼーっとした。。アイツ好きな人いるんだ。。なぜか心臓が苦しかった。




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