2、秋葉原の敵

「ザ・・・ザ・・・・ザザ・・・秋葉原の皆さん、聞こえますか?私は電脳シータです。秋葉原が地下に沈んでから数週間がたとうとしています。当初何もなかったこの秋葉原も電気やネットが作られ、今は安定した生活がおくれています。これもすべて、私が指揮、指導したため成しえたことだと思っています。そこで秋葉原は私が王となり、皆さまをより良い暮らしができるようにしたいと思っています。つきましては、これより定期的に皆さまには王への献上物として食料を納める義務が発生します。皆さん必ず納めてくださいますようお願いいたします。もし納めていただけない場合反逆とみなしますのでご注意ください。」


一方的なアナウンスが終わり、何が起こったのか正直理解できなかった。

そんな中口を開いたのは小次郎だった。


「なんだよ!このアナウンス!無茶苦茶じゃないかよ!!」


一同その意見には賛同だった。ただ一人だけ、その感情とは別の感情を持っている人物がいた。


「ちょっといいかの?」

「どうしたんだよじいさん。」

「ちょっと妙なんじゃ。」

「げんじいさん何か引っ掛かってるんですか?」

「電脳シータがそんな発言をするわけないんじゃよ。」

「だからどうしてなんだよ。」

「ずっと黙っておったんじゃが、電脳シータはワシの孫なんじゃ!」

「は?」


3人が同時に叫んでしまった。


「娘夫婦がうちに遊びに来ると決まってワシが孫にネットの知識や秋葉原のあれこれを教えてやったんじゃ。子供というのは覚えるのが早い、みるみるネットの知識を吸収し、試しにワシが以前から使っておったアカウントをあげたところ、気付いたら秋葉原に君臨するほどに成長しとったんじゃ」

「それで源さん。なんでそれが妙につながるんだ?」

「ああ、うちの孫はまだ小学生なんじゃよ。」

「えええええ」


またも3人で叫んでしまった。


「ワシが言うのもなんじゃが天才は天才なんじゃが、王とか、献上品とかそういう方に考えが行くことはないはずなんじゃ。」

「なるほど、それでじいさんは誰か悪知恵を入れている奴が居るんじゃないか思ってるわけだな。」

「ああ。」

「ちょっと待ってください、げんじいさん。お孫さんならメールとかできないんですか?」

「おお、そうじゃな!!ちょっと待っててくれ。」


じいさんが慌ててパソコンを操作しだした。俺たちは小学生がここまでのアイディアを提案していたことに驚きが隠せなかった。


「これは!!みんな見てくれ。1時間前にワシのパソコンに電脳シータから、『助けておじいちゃん』と送られてきてたんじゃ。」

「源さんこれで確定したな。電脳シータという存在を悪用しようとしている奴がこの秋葉原内にいる。」

「でも、そんなひどいことをする人が秋葉原にいるでしょうか?・・・・あ!!」

「あ!!」


俺とウミは心当たりがあった。秋葉原が沈んだ時食料を奪い去った若者集団。俺たちにガスガンで脅し食料を奪おうとしたあのクレイジーイーターたちだ。


「あいつらだったらやりそうだな。」

「ワシの情報網で今シータが居そうな場所を探ってみる。もし見つけたら、お前たち助けに行ってくれるか?」

「もちろん。」

「もちろんです。」

「源さん任せな!」


電脳シータの無事を祈りながらじいさんは高速でパソコンをいじりだした。

俺たちは対人ということで人用の武器を店内から物色をした。

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