4、鬼ごっこ
その棍棒の速さはすさまじかった。目を撃ちぬき助けようとするウミだったが砂煙がウミの標準を狂わせ、サイクロプスの目には当たらない。終わった。完全に終わった。避けるには遅すぎた。死を覚悟した俺は目を閉じた。
「あんちゃん大丈夫か?」
痛みもない。まだ生きている。目を開けるとそこには190センチはある金髪の大男が棍棒を大きな斧で防いでいた。
「あんちゃん、棍棒は俺が担当するから、攻撃を続けてくれ。」
「わかった。」
この人が誰なのかも、どういう状況なのかもわからない。ただ一度は死にかけた命、もう恐怖はない。ウミが目玉を撃ち、停止したところを俺が斬り、その後の攻撃を謎の大男が防いでくれる。棍棒を防ぐことで地面から砂などが飛び散らず攻撃が続けられた。そして・・・。
「目の色が変わった。いったん離れましょう」
俺の合図で大男と俺はウミの居る後ろまで下がった。
「うおおおおおおおおおおおおおお」
サイクロプスの咆哮と共にサイクロプスは暴走する。ゆっくりと動いていたサイクロプスが全速力でこちらに走ってくる。当初距離をとりやり過ごそうという計画だったのだが、そのスピードの速さに考えをすぐに改めた。
「時間が3分。ダンジョン内を走って逃げるぞ!!」
俺たち3人はダンジョンの細い道などを駆使して逃げ回った。1、2分と時間が過ぎあと1分というところでサイクロプスと出くわしてしまう。自分たちはすぐに来た道を引き返し入ってこれないだろう細い路地に逃げ込ことにした。追いかけてくるサイクロプス。ウミが路地に入り大男が路地に入る。しかしズボンが引っかかってしまう。追いかけてくるサイクロプスなんとか入る大男、しかし俺が入るには時間が足りない。残り一分間のガチ鬼ごっこ。
その時何も考えていなかった、ただ夢中で走っていた。しかし気がついたら誰も入ったことのない上の第二フロアに上がっていた。洞窟内に出来た草原地帯、一瞬今の状況を忘れてしまうぐらいの神秘的な空間だった。すぐに我に返り、後ろに振り替える。追っていたサイクロプスは第2フロアには上がってきていない。それがルールかのように階段の下で待っていた。そうこうしているうちにサイクロプスの暴走モードが解除され片膝をついた状態で止まっていた。その隙に俺は再び階段を降りると、二人と合流することが出来た。
「あんちゃん無事か?」
「ユウキさん!!」
「大丈夫生きてるよ。あと一息さっきのパターンで倒そう。」
3ローテーションしたところでサイクロプスの目が真っ白になり倒れた。
「終わった~!!」
「やったぞあんちゃん!!」
「やりましたユウキさん」
終わったと同時に大男が持っていた斧が砕け散った。
「危なかったな。ぎりぎりだ。やっぱりレプリカじゃこんなもんだな。」
「あの、危ないところを助けていただきありがとうございました。」
「気にすんな。誰かが倒さなきゃいけなかった敵だ。倒せてよかった。俺の名前は小次郎よろしくな。」
「あ、ユウキって言います。」
「ウミです。」
「ユウキにウミちゃんだな。よろしく・・・・。ってウミちゃん!!アキハバラNineのウミちゃんだよね?」
最近ずっといるせいでウミがアイドルだということをすっかり忘れていた。
「小次郎さん、ウミのことばれると大ごとになるので内緒でお願いします。」
「お、おうそうだよな。」
「とりあえず戦利品をもって帰りましょう。」
3人は各々サイクロプスの部位をもってダンジョンを後にした。その数分後どこから情報を得たかわからないが電脳シータからサイクロプス討伐の情報が流された。
小次郎と共に俺たちはじいさんの下に戻った。
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