2、緊急クエスト
「じいさん、またサイクロプスの犠牲者が出たらしい。無謀にもほどがあるだろ」
「しょうがないじゃろ、ダンジョンは上に続いている、もしかしたら地上まで続い
ているかもしれないという希望が出来てしまったんじゃ、多少無謀でも、上のフロアを見に行きたいんじゃろう。」
「そうかもしれないけどさ・・・」
やはり情報収集はパソコンだ。ネットにダンジョンの攻略サイトが出来ていることは秋葉原らしいところだと思う。ただゲームではない実際のダンジョンではあるのだが。
「そういえば、ウミちゃんはどこに行ったんじゃ?」
「街まで買い出しに行くとか言ってたけど。」
「ただいま戻りました。」
「お帰り、あれ?買い出しに行ったんじゃなかったの?」
「そのつもりで行ったんですが、とんでもないことを聞いてしまって。」
「何かあったのか?」
「実は今朝ホワイトナイツが正式にサイクロプス以外の1フロア内のモンスターをすべて狩りつくしたと発表したそうです。それによってお肉の値段が高騰、露店の並ぶ中央通りは人でごった返してます。」
「肉を食いたければサイクロプスを倒し上に進んでみるしかないってことじゃな。」
「はい、それでホワイトナイツがサイクロプス討伐作戦を行うみたいで、参加者を募ってるみたいです。ユウキさん、私たちはどうしましょうか。」
「う~ん。これがアニメやゲームだったら絶対参加なんだろうけど・・・。正直、安易に動くべきではないと思うんだ。」
「そうですよね。犠牲者だって出てますし。」
この決断が正しかったかなんて今でもわからない、なぜならサイクロプス討伐に挑んだ50名のうち戻ってきたものは2人、それも倒すことができず逃げ帰ってきたらしい。もし俺たちが参加していたら、勇気を出して参加する者たちがあと50人いたらここまで犠牲者を出さずに倒せていたかもしれない。
「ユウキさん大変です。パソコン見てください。」
ウミに言われるがままパソコンを見ると、そこには画面いっぱいに顔文字が映し出されていた。
「皆さんこんにちは電脳シータです。皆さんのパソコンをハッキングさせてもらいました。これを見ている5つのチームにサイクロプス討伐をお願いしたいのです。ご存知の通り、ホワイトナイツは2人を残し壊滅、もう討伐の可能性があるのはあなたたち5つのチームだけなのです。」
「そんなこと言われてもな?」
俺とウミは顔を見合わせた。ウミも戸惑っている様子だ。
「『なぜ私たちが』と思った方もいるかもしれません。あなた方5つのチームはダンジョン内の上位モンスター「ミニケルベロス」の討伐経験者なのです。」
「俺たちが倒したあのケルベロスモドキのことか。」
「そしてサイクロプスは少しずつダンジョンを進み秋葉原に向かってきています。このままでは1週間後には秋葉原の街に到達し街は襲われてしまうのです。今戦わなくてもいずれ戦わなければならない。今このメッセージを聞いている5つのチームの方たち、どうか秋葉原を守ってください。これは、私、電脳シータからの緊急クエストです。」
電脳シータは一方的に用件だけ言い消えていった。
ウミの顔を見るが浮かない顔のままだった。
俺は考えた。ケルベロスモドキを倒したは倒したが、かろうじて倒した俺たちに精鋭部隊ホワイトナイツが倒せなかったサイクロプスが果たして倒せるだろうか。漫画やゲームであれば巨大な敵に対してジャンプ斬りや壁を走ったり腕を登ったりして攻撃していくだろうが、リアルな俺たちが到底できる動きではない。硬さだってどれほどかは検討がつかない。決意するには勝利するビジョンが全く見えない。そんな時、電脳シータからメールが届いた。内容はサイクロプスのデータだった。
『サイクロプス:人型モンスター
弱点:一つ目
攻略法:目を攻撃することで片膝をつくため、その隙に攻撃をする。
ただし、あと少しで倒せそうな状態になると暴走モードに入り、どんな手段をとっても攻撃は効かない。この時にどれだけ逃げれるかがカギ。
推定無敵時間3分(生き残った2人の証言を基に作成)』
俺は、いつもより深い息をした。
「ウミ、俺はこのクエスト受けようと思う、ウミはどうする?」
「私たちはチームですよ!!ユウキさんが行くなら私も行きます。」
「ありがとう。正直ウミがいないと勝てないクエストなんだよね。」
「おい、お前たちクエストを受けるなら、武器をメンテナンスが必要じゃろ、ワシに任せな。」
「ありがとうじいさん。」
ウミと相談し、出発を3日後とした。できればどこかのチームがそれまでに倒してくれるのが良いのだが3日たってもその報告はなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます