壱 お鉢が回る
入学式が終わり、僕は先刻明かされた新しいクラスへ足を運んだ。そこへ、5分と経たずして僕らを一年間担当するであろう教師が入室してきた。男の教師で、髪は黒のショート。女子生徒間で人気が出そうなルックスからして年齢は二十代半ば程だろうか。そんな好青年が、突如として爆弾を投下した––––––
「皆さんこんにちは!今日から一年間皆さんを担当することになった、
そう、自己紹介と言う名の爆弾を。
新しいクラスにおける自己アピールは、今後の学園生活を左右する重要なファクターだ。
だがしかし、自己紹介タイムでは、一人だけが立ち上がって他30数名に向かって声を発する。つまり僕が言わんとすることは––––––コミュ障を患っている僕みたいな人には厳しい試練だと言うことだ。
新しく仲間となったクラスメイトは、各々思い思いのことを伝えている。
好きな食べ物、趣味、特技といった無難なものから、新しいクラス万歳!と、場を和ませるもの。かと思えば、付け焼き刃のボケや渾身の下ネタを言って、季節が春にもかかわらず雪を降らせる奴もいる。
僕はと言えば––––––
#####
僕の名前の頭文字は「ほ」。出席番号は後の方だ。
今か今かと心を落ち着かせて待っていると、ついにお鉢が僕にまわって来た。
「次は.....骨皮くんだね!」
石部先生の声に反応し、起立をした。
そして、心の中で入念に準備をした台本を読み上げる。
「あ、えっと、
キーンコーンカーンコーン。
––––––チャイムが鳴った。
☆石部金吉…非常に生真面目で物堅い人のこと
☆お鉢が回る…順番が回ってくること
骨皮筋衛門の日常 緋咲 碧 @hisakao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。骨皮筋衛門の日常の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます