第34話『覚悟』
リンとメリアはある部屋に向かった。
そこはあまり人が立ちいらない場所であった。
「ここなんだよね……」
「そうね……お父様は悩みが出来るとここに来ています」
トントン
そう言ってドアをノックした。
「……分かっている、リン、メリア、君たちだろう?」
「はい」
「そうです、王様」
そう言って2人はドアを開けた。
そこには物がほとんどなくてただ一つ女性の写真があった。
「お父様は悩みがあるといつもお母様のいる場所に来ますね」
「ああ……ダメかな? こんな父親」
「そんなことはありません、それにお父様に悩みを与えたのは私たちですから」
「そうです、王様は気にしないでください」
「……そんなこと言わないでくれ……」
と苦しそうに言った。
そしてアレクは言った。
「すまないがやはり賛成はできないよ」
「やはり気が付いていましたか……でも私たちは本気です」
「私も反対です姫、メリア」
そう言ってもう1人の声がした。
「聞き耳何てはしたないと思いませんか? 父さん」
「今2人が考えていることを止める為ならばこんなこと訳ないさ」
そう言ってメリアの後ろに立っていた。
「気づいていたね、メリア、成長したんだなお前も……」
「昔の私のままでは入れませんから、それに和矢についていくことで私はもっと成長しますよ」
「賛成していないのにもうすでに行く気満々だなんて……どうしましょうか、王よ」
「……どうしても賛同できない」
するとリンは
「お願いです、私はあの方と一緒に旅がしたいのです、それに魔王はいつか倒さないといけないと思いませんか? この国の為にも、放置すれば何れこの国に来て私たちはなすすべなく滅ぼされれば今行かなくても私は死にますよ?」
「……そんな意地悪言わないでほしいんだが」
「ごめんなさい、でもそれでも私は……」
そう言って2人は譲ろうとしなかった。
メリアは
「私は彼を見て思いました、このまま魔王が来たときに姫を守るにはどうすればいいか、ここで怖気ついては守りきれないと思ったので和矢の旅にどうこうしようと考えています、それに姫様も強くなった方が私がいない時に自分の身を守れると思いますが? 確かに旅に出ればそれだけリスクが大きくなりますが、そのリスクを恐れれば人は成長しないと考えていますよ、父さん」
それを聞いてメリアの父は
「確かにお前の言うことも一理あるが……王様の意見が変わらない限り私の意見も変わらないぞ」
と言って断固として意見は変わらなそうだった。
するとそこへ
「お父様? 良いんじゃないですか? 別に、この王国はこの僕が見るので」
そう言って1人の男が入ってきた。
「!! デリクス! 私はそういうことを言ってるんじゃない! ただ我が子を心配してるんだ!」
と慌てて言ったが
「そうですか、確かにそうですけど、そんなことを言っていていいんですか? 他の国では選ばれた勇者がその国の姫と一緒に魔王退治に言ってる国もあるのにうちの国は行かないのかと言っている民もいますよ? このままじゃ示しがつかないのでは?」
と言われた。
それを聞いてアレクは
「!! そんな情報何処から?」
と驚愕しながら言った。
デリクスは
「そんなの町の民の噂を調べさせれば簡単な話ですよ、それより行かせた方がこの国の為にもなると思いますが? どうしてそれを許可しないんですか? 僕は賛成ですよ? 妹よ、頑張って魔王退治に精を出しなさい」
ニヤリと笑いながらデリクスは言った。
「!! お兄様……はい、分かりました」
気味悪そうにリンは笑顔で言った。
「その間この僕がこの国の面倒を見るさ、大丈夫だよ? 僕は有能なんだ、妹よりもね」
と言って王様の肩に手を置いた。
王は悔しそうに
「分かった、いいだろう、だが絶対に生きて帰れ」
と言った。
王様も本当は自分の中では許可したくなかったがデリクスの言う通り
民の皆もそのことで王への忠誠が下がってもいた。
そのため、王様は自分たちの税金で暮らす無能と言われていた為、このままじゃいずれ国が亡びることも確かであった。
そのため、リンとメリア、そしてデリクスの話を飲まざる得なかったのである、
自分は1人の親である前に王であることを優先しないといけないのであった。
そのため、自分の感情を押さえつけて許可を出す以外の答えがなかった。
そして王様は
「取り敢えずそのことは和矢君に聞いて大丈夫であるかを確認してから準備をしなさい」
と言った。
2人は
「「分かりました!!」」
と言って走って行ってしまった。
「2人も成長しましたね」
「ああ、でもすまない、お前の娘まで巻き込んで」
と申し訳なさそうに言った。
それを聞いて
「そんなこと言わないでください」
とメリアの父はアレクを励ました。
そこにはデリクスはもういなかった。
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「フフフ、これでこの国は僕の国だ! リン! お前にはやらんからな!」
と笑いながら椅子に座った。
「楽しみだ、僕の国になるこの国を見るのは」
そしてワインを含んで飲んだ
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和矢は魔法の練習をしていた。
「ふーん、これなら後今日と明日で出来そうだな」
そう言っていると
「ちょっといいですか?」
「ちょっといい?」
リンとメリアが話しかけてきた。
「?? 良いけど?」
そう言ってリンとメリアの目を見てなんとなく勘付いた
だが、和矢は話を聞くことにした。
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