第32話『能力発揮』

和矢はその後も魔法の使い方も勉強するために本を読んだ。

神様が使いこなす能力は与えてくれたが使うまでの知識は自分で勉強しないと使えないようになっていたからであった。

そして、本をかなりの日数をかけて読み終えて和矢は魔法を試すために試し打ちのできる場所に来ていた。


「ファイアー!!」


と手をかざして唱えると炎が的に向かって飛んで行った。


ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!


けたたましい音と共に的が燃え尽きた。

それを見ていたリンとメリア、

そしてそこを管理していた兵士の男が


「コっこりゃスゲエ……あんたその能力を持ってるなんてもはや才能が飛びぬけているな……」


と唖然としていた。

リンは


「すごい……本当に凄い!! 私!! こんなに才能のある人見たことありません! それに魔法以外もすごく手練れみたいだし! 尊敬しています!!」


と顔を赤くしながら言った。

メリアは


「そっそんな……世界にはこんなに凄い人間がいるの……」


と完全に呆気にとられていた。

その後もすべての魔法を和矢は使ってかなりの魔力があることも証明してしまった。

しかしこれは


(多分、神様が全ての魔法を使いこなすチートをくれたからその恩恵なんだろうな……多分魔力分に関してだけは使いこなすものとして含まれたんだろう……)


と感じていた。

そしてメリアは


「でっでも私! 和矢みたいに速読で着て来たんだ!」


と言ってそこにある本を取ってそれをパラパラと捲っていった。

そしてその本をリンに渡して


「問題出して!」


と言った

それを見てリンは


「メっメリア! 別に和矢に対抗しなくても……」

「いいから!!」


と言って少し慌てた様子だった。

それを見てリンは取り敢えず問題を出した。


「えっと……P200の最初のページは!」


するとメリアは少し考えて


「第一章! エイシェントドラゴンの生態!」

「せっ正解……えっとちなみに内容は?」

「えっと……この世界での一番古いドラゴンで魔天第1紀に勇者によって討伐されたドラゴンで!……」


そしてその後もメリアは問題を答えていき、ほとんどの問題を正解した。

そしてメリアは


「どっどうよ! これだけ応えれるようになったわよ!」


と少し誇らしそうに言った。

それを見て和矢は


「すごいよ! 僕でもこれはそんなに短い間では身につかなかったのに!」


とかなり驚いていた。

それを聞いてメリアは


「本当に! でも魔法の方がすごいような……」


と自分に使えない魔法を使う和矢に少し嫉妬していた。

それを見てリンは


「まあまあ、魔法に関しては素質があるから……本を読んだだけで使える人もいますよ! まあ和矢さんみたいにこんな初級魔法だけでもかなりの高火力を出す人は普通いませんけど……」


と少し和矢に対してもあこがれは有れど、少し驚いていた。


「でもこれなら魔王を倒せるかもしれないわね!」


と和矢に期待を寄せた。

それを聞いて和矢は


「まあ、でも俺一人で倒せるとは思わないよ……きっと魔王も1人じゃないさ……俺一人で倒せるだなんてうぬぼれるようなことはしたくない……」


と言った。

それを聞いてリンは


「その? 仲間を作ろうとは思わないんですか?」

「そうよ! 和矢は強いし人に優しく出来るし困った人を助けることも出来るんだからきっと仲間何てすぐに出来そうだけど?」


と疑問を言った。

すると和矢は


「まあ、えっと昔総計していた人がいたんだけど、僕はそれまであんまり人と話すような人間じゃなくて自分だけで強さを求めていただけの心のちっさい餓鬼だったんだ……」


と恥ずかしそうに言った。


「え! そうは見えないけど……」

「うん、そんな和矢をどんな人が導いて変えてくれたの?」


すると和矢は顔を赤くしながら


「僕がいた学び舎の生徒の1人でそこの会長を務めていた人なんだ……その人はすごく尊敬できる人なんだ……彼女は僕よりも力があるわけじゃないけど、知恵と頭を使って皆から尊敬の念を受けていた、さっき僕に言ってくれたように困った人を助けることが出来て芯が強くて誰からも愛されるような人だったんだ……」

「へえ! その人は今どうしてるんですか!」


とリンは微笑みながら聞いた。

すると和矢の顔は険しくなって


「死んでしまいました……通り魔に刺されて殺されたんです……」


と悲しそうに答えた。

それを聞いた2人は


「え」

「そっそんな……どうして」


と気まずそうにした。

和矢は


「俺が一緒にいればあの人は死なずに済んだんだと思う……それなのに俺はあの人に先に帰っていいと聞いて帰ってしまった……夜道を女性一人で歩けばどうなるなんて考えれば分かったはずなのに! それなのに!」


バン!!

と机を叩いた。

それにビクッとして2人は黙ってしまった。

それに気づいて和矢は


「ごっごめん! 変な話をして! でも俺は誓ったんだ! 絶対あんな後悔をしないって! だから絶対に大切な人は俺が守って見せるってだからこの世界を支配する魔王を倒してこの世界の人間を安心させたいって! 無謀だと笑われてもやり遂げたいって!」


それを聞いてリンとメリアは


((覚悟が違うんだ……だから何でも必死に出来て誰もが不可能と思う魔王討伐をするという目標を立てることが出来たんだ……))


と思った。

2人はその時同じことを思った。


((かっこいい))


そしてそのことがきっかけで2人の運命も変わっていくのであった。

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