第31話『素質』

「成程」


そう言って和矢は魔法の本に目を通していった。

リンとメリアは呆気にとられていた。

和矢はパラパラと本のページを送っていく。

本当に呼んでいるのかそれともふざけているのかと疑ったぐらいの速さだった。

しかし、魔法の呪文をテストすると

完全に答えられてしまう、しかもページ数すらもだ。

リンは聞いた。


「いったいそれはどうやってるんですか?」


すると和矢は


「速読だよ、僕のいたところで出来る人と出来ない人がいるけど訓練したら結構便利なんだよ」


と微笑みながら言った。

メリアは


「えっと、どうして和矢はその技術を学んだんですか?」


と聞いた

すると和矢は


「えっと、僕の武道の師匠が動体視力を鍛えると試合とかでかなり便利だぞって言ってやらされたのがこれなんだよ、まあそのおかげで本を読むのがすごく早くなったのと相手の動きを把握することが出来てかなり武道も強くなったんだけどね」


と言った。

2人はその技術に感動した。


「すごいすごいすごい! それって私も出来たりする!」

「えっと、多分出来るんじゃないかな? でもかなり習得するのに時間が掛かるよ? 俺も結構時間かかってやっとできるようになったし」

「へえ、そうなんだ、でもやってみたい!」


と言って目を輝かせた。

それを聞いて和矢は


「分かった、まずどのようにして本を読んでいるか見たいからこの本を読んでみて」


その本は和矢がいた世界でよく読んでいた、縦読みの本だった。


「分かったわ!」


そう言ってメリアは本を受け取った。

そして、和矢は


「じゃあ読んでいるところを指で指しながら読んでみて」


と言ってさっそく始まった。

メリアは通常通り本を読み始めた。

指で一行の最後まで指してまた一行を指して読んでいった。

そして、ほんの一ページが読み終えると


「えっとこの本を読むのにかかった時間は45秒ぐらいだな」


そして次に和矢が呼んだ。

すると

和矢は指を一行を指して読むのでなく一行全体を人差し指と親指で挟んで読んだ。

すると読み終わるのに7秒ぐらいしかかからなかった。


「……」


リンもメリアも口を開けて呆けていた。

そして2人は


((今ので本当に理解できたのか……いや、それはさっき確認した、でもどうやって理解してしまったのか))


と思った。

すると和矢は


「まあ、訓練したら理解も早くなるし目もどう読めば理解できるのか動きが分かるようになるからまずは全体を読んで理解をするように訓練してみるといいよ!」


と言った。

さっそくメリアはやってみたが


「でっできた……」


と少し顔を歪めながら言った。

それを見てリンは


「じゃあこの3行目の魔法は?」

「えっと、えっと、ファイアー?」

「残念、ウォーター、ファイアーはその隣」


と呆れながら言った。


「ム――――――!!」


メリアは膨れ上がりながら顔を顰めた。

それを見て和矢は


「はははははは、大丈夫、最初は俺もそんなんだったよ! でもいずれ慣れるから!」

「だといいんだけど……」


と半ば信じられないような顔をして練習を続けた。

そして和矢も


「じゃあ俺もこの本を読んでいくけどいいかな?」

「あ!! いいよ! ごめんね! 時間を取らせて!」

「いいよ! 面白かったから!」


と言って和矢はチャカした。

そしてリンは


「私はもう魔法も覚えたし、本もゆっくり読みたいから別にいいかな……」


と言って練習するメリアに付き合ってあげていた。


そして和矢は


「フ―――――――! 疲れたああああああああ!!」


そう言って本を置いた。

丁度10000冊ぐらい読み終わった。

辺りを見るともうかなり暗い

それを見て和矢は


「ああ! ごめん!! こんな時間まで付き合って!」

「いいよいいよ! 時間見たけどもすぐ夕食の時間なだけだし、今日は図書で食事するって言ってあったから! ていうか良くこの時間まで読めたわね! 集中力すごいね!」


と普通にメリアは感心していた。

隣のリンは


「……おなか……減った……」


とぴくぴくしていた。

それに2人は気づいて


「ごごめん!! 全然気にしてあげられなくて!」

「大丈夫よ、昼は私が買った物を食べさしたから! 多分私に問題を出して疲れてたんだと思うから! 和矢にも渡したんだけど集中して完全にこっちと遮断してた感じだったから君いはまだだけど……大丈夫?」

「え、ああ、大丈夫、疲れただけだからこれも勿体ないから頂くよ!」


そう言って和矢はそれをすぐに口に入れて食べきった。

それを見てメリアは


「えっと、これから夕食だけど大丈夫なの?」

「大丈夫、食欲には自信があるからまだ入るよ!」


と言って少しお腹に入れた状態にして食堂に向かった。


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「どうだったかね? 本の方はどれだけ読めた?」

「えっと10000冊ぐらいですかね?」


と言った。

それを聞いて王様は


「良くそれだけ集中できるものだ……私なら絶対に無理だ、それより読むの早いんだね……」


それを聞いてメリアは


「読み方があるみたいで私も教わりましたよ! 結構訓練がいるみたいです!」

「そっそうなのか、まあいまの私にはそれを習得する時間がないと思うから無縁かもしれんな……」


と笑いながら少し悔しそうにしていた。

そして、和矢は本を3日ほどで読み終えた。


それを見ていたリンとメリアは


「「本当に凄いな……」」


とただただ驚いていた。

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