第19話『協力』

「これで全員か……けど、救えなかった者もいる、ごめん、俺が気づくのが遅れたせいで……」


と落ち込みながら和矢は言った。

メリアは


「そんなことないよ! いきなり変な粉で人が溶けるなんてありえないもの!」


と励ました。

リンは町の人に


「あの? これってこの町では良くあることなんですか?」


と聞いた。

すると町の人たちは


「そんなことない! こんなこと今日が初めてだ! いったいなんなんだこれは!」

「私の……私の夫がアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「これはいったいなんなんだ! いったい何が起こってるんだ!」


と皆粉の正体が分かっていなかった。

それを聞いて和矢は


「もしかしたらこれは人的に行われたのかもしれない」


と言った。

それを聞いて町の人は


「!! いったいなぜ! 誰がこんなことを!」

「酷すぎる! そいつは人じゃない!」

「殺人者め! 絶対許さねえ!!」


と口々に罵詈雑言を言った。

和矢はそれを見て


「皆! 俺を手伝ってくれないか! これを起こした原因を突き止めたいんだが!」


と言った。

それを聞いてメリアは


「って言っても! 和矢! 犯人がどこにいるか分かるの! もしかしたらこの町にいないかもしれないわよ!」


と言った。


(確かに、普通ならこれだけのことをしてすぐにこの町を出ればばれることはないだろう……だが)


和矢は考えを言った。


「確かにいないかもしれないけど、でもこんなことを起こしたんだ、もしかしたらどこか安全な場所で見ている可能性だってある、それに上を見ろ」


と言って指を指してみんなの視線を上に向けた。

皆は気づいた。

粉は町を覆っているが高い建物の屋根までは覆っていないということに

そして和矢は続けた。


「確かにいないかもだがいた場合、あの建物の高い場所でこちらを観察している可能性もある」

「確かにそうだけどでもどうしてこんなことを……」


メリアはこのような残虐な行為を見る理由が分からなかった。

和矢は言った。


「俺は知ってる、こういうしてそれを見て作品のように楽しむ人間がいる子を……もしかしたらそういう奴がやってる可能性もある」


それを聞いてリンは


「そんな! そんな酷い事をして楽しむ人間がいるなんて! 恐ろしすぎます!」


と震えながら言った。

和矢は


「俺たちはそういう奴等をサイコパスと呼んでいるんだ、正常な人間には分かりえないことを考え実行しようとすることがある、俺たちみたいな人間には分かりえないことを考えることがあるんだ……恐らくそういう傾向のある人間の仕業の可能性もある」


そう言って皆に説明した。

それを聞いて町の人は


「そのサイコパスだか何だが知らないがそいつのせいで我々は大切な家族を失ったってことか?」


と聞いた

和矢は


「おそらく」


と言って頷いた。

そして続けて


「だからお願いします! こんなことを起こした人間を捕まえるのを手伝ってくれませんか! もしかしたらこの町の粉をどうにかする方法を知ってる可能性もあります!」


と頭を下げてお願いした。

和矢は3人だけで犯人を見つけることが出来ないと思ったのだ。

もしかしたら犯人は狡猾にバレないように隠れている可能性もある

そのため人数が必要であった。

それを見てメリアは


「ちょっと! 和矢が頭を下げる必要なくない!  むしろこれは町の人が私たちに頼むことだと思うわよ!」


と言ったがリンは


「私からもお願いします! 皆さんが過ごした街を守るためにも! 私たちも出来るだけ皆さんを守りますので探すのを手伝ってください!」


と頭を下げた。

それを見てメリアもつられて頭を下げた。

すると町の人は


「まっまあ、仕方ないか、ここで暮らしてるのは私たちだしな……」

「ああ! これのせいで私の妻は死んだ! 許せるはずがない! 協力は惜しまないつもりだ!」

「私も! さっきは怒ってごめんなさい! でも私も息子を殺した犯人がいるなら私は許せない! 絶対に殺してやる!!」


と悔しそうに拳を握りながら言った。

そして和矢は


「ありがとう! 皆! 頑張ろう!!」


と言って腕を上げて行った。


「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」」」


と言って気合を入れた。


---------------------------------------------------------------------------------


「さてと、俺は逃げるか……せっかくのチャンスなんだ」


椅子から解放された斉藤は逃げる準備を始めた。


「でもどうやって、あいつらはチャンスを作るって言ったけどどこに逃げればバㇾずに済む? だが動かないと逃げることも出来ないから取り敢えず物陰に隠れながら脱出を図ろう」


そう言って斉藤は逃げながら物陰に隠れて動き始めた。


----------------------------------------------------------------------------------


「さてと、あいつらも動き始めたか」


聖は相手を観察しながら


「おっと、町の皆も連れて行くのか、これは手間がかかりそうだ……猛! 長谷川! 聞こえるか!」


と言ってチートで作ったトランシーバーを使って話し始めた。

その応答を拾って


「おう、聞こえてる」

「聞こえてるぞ」

「よろしい、町の皆も参加しちまったみたいでね、お前らも気を付けて町の人間を倒しながらあの勇者一行を殺せ」

「「了解」」


そして通信を切って

聖は


「さてと、取り敢えずは高みの見物で、ここまで来たときの対策でも考えるか」


と言って座った。


-----------------------------------------------------------------------------


「リン! スキルで千里眼があっただろう! それで敵がいるかを確認してくれ!」

「分かったわ!」


そう言ってリンはスキルの千里眼を使った。

それを見て町の人は驚いて


「まっまさか! この方は!」

「大都市デネブの姫君!」

「まさか! でもこのスキルを使う者は!」


と驚いていた。

リンは持っていた槍を構えた。


「いました! あの塔のてっぺんで見ています!」

「ありがとう! リン!」

「じゃあ! 行きますか! ビルドアップ!」


メリアは身体能力を上げてメリケンサック手に付けて構えた。


「行くぞ皆あああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


そう言って和矢の声と共に動き出した。

そして和矢は


(見ていてください! 凛格会長! あなたのように悪き人間を倒して! 苦しんでいる人間を救えるようなものになって見せます!)


と胸に誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る