第14話『パーティー』

「和矢! ここは装備ならいいのが揃ってるみたいよ!」

「うん、ありがとう」


和矢(かずや)と呼ばれた男が1人の少女に手を引っ張られて店に入って行った。


「いらっしゃい!」

「ちょっと待ってよ! 2人とも足は速すぎ!」


追いかけるようにもう一人少女が入ってきた。


「もしかして君たち魔王を倒す旅に出てる人たちかい? 危険なのに頑張るね」


と店主は笑いながら言った。

和矢は笑いながら


「大丈夫です、出来るだけのことはしますので」


と言った。

それを聞いた2人の少女は


「大丈夫よ! 和矢の力なら絶対に倒せるんだから! だからおじさん! まけてよ!」

「えーそれは出来ないぞー」

「そうだよ、メリア、和也を使って値切ろうとするんじゃないの!」

「メリア、気持ちは嬉しいけど絶対じゃないんだからそんなこと言っちゃだめだよ」


メリアと呼ばれた少女は頬を膨らませて


「ムー! 分かったわよ! リンも和矢も真面目なんだから!」


と言って言うことを聞いた。

するとリンと呼ばれた少女が


「和矢? この剣はどう? これなら和矢が持ってたって言う竹刀と同じ大きさじゃない?」


と和矢に品物を渡した。

店主は


「試し切りしてみます?」


と笑顔で言った。

和矢は嬉しそうに


「良いんですか! ありがとうございます!」

「割引は出来んがそれぐらいならいいぞ!」


と部屋へと案内した。

そこにはカカシのような人形が立っていた。


「これを斬って感触を確かめてくれ」

「ありがとうございます!」


そう言って和矢は持っていた剣を鞘から抜いて振りぬいた。

カカシは綺麗に滑りストンと落ちた。

店主はすぐさま断面図を見た。

それは拉げることなく綺麗に斬れていた。


「ほへえええ、お客さん凄いねー! ここまで綺麗に斬り落とすなんて、これなら期待できそうですよ!」


それを聞いてメリアは


「じゃあまけてよ!」


と言ったが


「それはダメ、びた一文まけない」


と言って拒否した。

メリアは


「ブー!」


と言ってそっぽ向いた。


「またこの子は!」

「リン、そんなに怒らないでやってくえりょ、メリアも僕らのお金のことを気にして言ってくれてるんだから」

「和矢は優しすぎるのよ……」


そんなやり取りをしていると


「いや~君たちはいい子だね、あの死刑囚共とは大違いだ!」

「死刑囚? どういうことですか?」


と和矢は聞いた。

和矢もこの国では犯罪が起きないとは思っていない

しかし、どうして今ここでその死刑囚の話が出てくるのかが分からなかった。

すると店主は


「ああ、すまないね、実はさっきこの町から魔王退治に出た人間がいたんだけどそいつらの二人が死刑囚なんだ……」

「「「!!」」」


三人は驚いた。

確かに魔王が現れたせいで人々は苦しんでいる。

町を魔物に襲われたり、子どもが殺され、大人が殺され、老人が殺され、女が殺され、親が殺される等様々な不幸が降りかかっている。

だからと言って何故この国は死刑囚を外へ野放しにして魔王退治をさせようとするのかが分からなかった。

和矢は


「何故そんなことが!」


と店主に聞いた。

店主は


「分からない、ただ名前までは知らないが権力のある女がそいつらを使って魔王退治をすると言い出したらしい、いくら自分は殺されないからってそんな危ない奴等を野放しにすることに皆反対した」

「当然よ!」

「だって死刑囚ですよね! いつその人たちが人を殺すか分からないじゃないですか!」


メリアとリンも信じられないような顔をして怒った。

店主は


「全くだよ、その二人がどうしたのか分からないけど人は殺してる」

「「「!!」」」

「確かチンピラだったり、老人だったり、女の人だったり、子どもだったり、一番驚いたのはこの国の姫を惨殺した何て聞いたね」

「この国の……」

「お姫様を……」

「最低! 信じられない! そんなやつらを外に出すなんて!」


とそれぞれに怒りを露わにしていた。

すると店主は


「君たちも気を付けろよ! 魔王退治をするというならもしかしたらそいつらと出くわすかもしれない、その時殺されないようにしなさいよ!」

「分かってます、その時はそいつらを捕まえて牢獄に戻します! 僕はそういう奴等をゆするつもりはありません!」

「そうね! 和矢なら大丈夫よ!」

「うん! メリアと同意見! 私も和矢なら大丈夫だと思う! いざとなったら私たちもいるんだし!」

「2人ともありがとう!」


和矢は2人に笑顔でお礼を言った。


「「////そっそんなことないよ!」」


と言って2人は顔を赤くした。

店主はそれを見て


「ほほう」


と言ってにやけていた。

そして、和矢は


「ごめんおじさん! 長居しちゃった! お金はこれでいいかな!」

「ああ! 足りてるよ! 毎度どうもね! 魔王退治頑張って!」

「ありがとう!」


そう言って3人は店を出た。

そして


「切羽詰まってるのは分かるけど、死刑囚を出しちゃうなんて……」

「その女も本当に怖いわね! いったい何を考えてるのかしら!」

「まあまあ、でもそれで他の人が傷つき殺されでもしたら僕は許せないと思う!」

「その時は私たちが倒しましょう! 魔王退治と共にそいつらも退治しちゃいましょう!」

「そうですね! 平和の為にも頑張りましょう!」


と言って3人は楽しそうにしていた。

この時3人は知らなかった。

自分たちがこの町で地獄を見ることを


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