第13話『囁き』
「では聖、現国王に許可は取った。魔王を倒すことを命ずる」
「あざっす!」
「だからお前は大臣の前だと何度言ったら!」
「いい! 刺激するな!」
大臣は聖の適当なお礼も許した。
大臣は頭を抱えながら
「とにかく! しっかりやれよ!」
と言った。
すると聖は
「その前に、今牢獄に入っている者は誰もいないのですか?」
「一人だけいる!」
「「!!」」
その一人は斉藤だと長谷川と猛は反応した。
大臣は
「斉藤と呼ばれる男だが今日処刑にする。刑の執行は今日の夕方だ!」
「すると、それは私たちが町を出てからになるということですか?」
「そうだな、そういうことだ」
都大臣の言葉に聖は
「実は長谷川と猛は斉藤と知り合いでして、良く話していたそうです」
「まあ、同じ牢獄に閉じ込めてたんだからそうだろうな……」
「それなら話が早い、斉藤と面会させてもらってもよろしいでしょうか?」
それを聞いて隣の男が
「聖! いい加減にしろ! お前はどこまで傲慢なんだ!」
「刺激するなと言ったろうが! バカ者が!」
再び隣の男に大臣は震えながら怒鳴った。
それを見て長谷川と猛は
((いったい何をしたんだこいつは? 大臣の怯えようが尋常じゃないんだけど……))
と思って口に出そうだったが、無理やり止めた。
「いいじゃないですか、ベつに逃がそうとすれば死刑でしょう?」
「……まあ、そうだが、だからと言って……」
「それとも何か問題でも?」
「……分かったよ、面会をさせてやる、ただし10分だぞ!」
と言って斉藤との面会を許可してくれた。
「ま、当然だな」
「!! くそおう!」
隣のとこが悔しそうに睨みつけた。
それを見て聖は
「お前、さっきから生意気だな」
と男を睨みつけた。
それを見て大臣は真っ青になって
「!! 聖! 落ち着け! 悪かった! お願いだから何もするな!」
と言って聖を制止した。
それを聞いて聖は
「しないでください、repe atafter me!」
大臣はそれを聞いて
「お願いですからしないでください……」
と悔しそうに言った。
満足したのか聖は
「よろしい! では早速連れて行ってくれ!」
と言って大臣を案内させた。
----------------------------------------------------------------------------
「面会室なんてあったんだな」
「あの交渉の場所よりかはマシだな、大臣」
「……く」
好き放題言われて大臣もかなり悔しそうにしていたがすごく耐えているようだった。
2人は大臣に聖がしたことを聞きたかったが今は抑えた。
「では斉藤を呼ぶ」
「おう、連れて来たら君たちはここから離れていてくれ」
「!! そんなことできるわけ……」
「出来るわけ?」
「!! 何でもありません……」
2人はしぶしぶ聖の言うことを聞くことにした。
大臣と男が出て行って、長谷川は聞いた。
「大臣に何したの?」
聖は
「汚職事件を何とかしてやった」
と当然のように言った。
それを聞いて長谷川は
「自業自得じゃねえか!」
と呆れた。
猛もそれを聞いて大臣の同情が消え失せた。
そして扉が開いた。
「……やあ、元気そうだな」
そこには窶れた斉藤が縛られてそこに立っていた。
「さっ斉藤、大丈夫か?」
「いや、お前がいなくなったから俺が死刑になるのが怖くて怖くて仕方ない」
と震えながら席に座った。
「では、今から10分間だけだ、それ以上はダメだからな!」
と言って大臣と男が出て行った。
そして、見計らったように聖は斉藤に言った。
「やあ! 斉藤君! 元気がつくような話をしようか! 私たちはこれから魔王を倒す旅に出て外へ出るんだけど、いったん戻ってこの国にテロを起こそうと思うんだ!」
「「元気よく言ったなあ……」」
それを聞いて斉藤は
「それと俺に何か関係あるのか?」
と疑問を出した。
聖は
「分からないかね? 逃げるチャンスが出来るってわけだよ、それってすごく元気が出ない!」
「まあ、うん、そうだな、でも俺も殺す対象じゃないってことではないんだろう?」
「いや、殺す対象にはならなくなる、これから……」
それを聞いて斉藤は首をかしげた。
「今から? テロが起きてる時じゃなくて?」
「ああ、そうだ、ここに薬がある、これを摂取するんだ」
「毒か?」
と斉藤はすぐさまに警戒した。
聖は微笑みながら
「怖がることはない、これはテロの時に使用する菌の抗体作成の薬だ」
「抗体を作る? 兵器でも用いるのか?」
「まあ、そんなところだ、後は君の運次第だ、テロを起こす前に殺されるか、それとも生き残り晴れて自由の身になるのか、そしてそれからどうするのかを君自身が考えたまえ! 私は君にきっかけを与えるだけだからね!」
と言って聖は
「で、どうする? 接種するか? 今ここで決めろ」
と言って斉藤に聞いた。
斉藤は
「まあ、どうせ死ぬ運命なんだ、接種してくれ、ちょっとでも可能性があるなら……」
と言って薬を投与することを受け入れた。
そして、聖は斉藤の見えない脇の部分に薬を投与した。
「では健闘を祈る」
そして、ドアが開いて、
「時間だ、退出!」
斉藤は連れて行かれた。
それを見送った猛と長谷川は
「俺たちあまり話せなかったが……」
「ああ、大丈夫かな? 斉藤の奴……」
と心配した。
聖は笑いながら
「後はあいつの運命を信じてやれ、信じる者は救われるとかいうからそんな暗示でもかけとけ」
「はいはい」
「そうしますよ、全く」
と言って2人は祈った。
((どうか斉藤、このチャンスを絶対に掴んでくれ))
そして、
---------------------------------------------------------------------
「では、3人とも言って来い、そして魔王を倒すんだ!!」
と王様の言葉と共に3人は町を出た。
3人は少し離れた場所で
「では、猛地面を液状化してそこから町にまた戻る! 長谷川は私が渡す菌を町に着いたときに地面から手をバレないように出して増殖させて空気中に放ってくれ、一通り終わったら高みの見物といこうじゃないか!」
と言って聖はほくそ笑んだ。
2人は
「「了解」」
と言って作戦を実行した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます