第11話『手始めに』

「「お願いします、斉藤を助けてください」」


2人は聖に頭を下げてお願いした。

当然だ、例え牢獄だけでの関係とはいえ、一緒にいた仲間みたいなものである。

そんな仲間を見捨てるほど彼らは心を捨てているわけではない

それを聞いて聖は


「それが聞きたかった。ではよろしく頼むぞ! 2人とも!」


元気よく聖は手を差し伸べた。

握手をするという意味なのだろう、

2人は聖の言葉に対して少し恐怖を覚えた。

一体何を考えているのか?

生き残るためとはいえこの異世界に人体実験を持ちこむ人間である。

そして何より賢いという

自分たちは利用することは丸わかりだ

だが斉藤を助ける為


「「よろしく頼む」」


手を握り返した。


「うむ、ではまず私のちゃんとした名前を言おう、猛君は知らないのだからね」

「はい」


それを聞いて猛は返事をする

聖の自己紹介が始まった。


「私の名前は凛(りん)格(かく) 聖(ひじり)だ、さっきも言った通りチート能力は不老不死だ」

「ああ、よろしく、聖、俺は山本 猛、チート能力は手で触れたものを液状化させる能力、神様に詳細なことまでお願いしたのでただ液状化されるわけじゃない、自分の意思通りに液状を元に戻すことも出来る、時間制限を作ったり、条件を付けたりとな」

「ほほう、なかなか面白いチート能力だ、まあ確かに詳細に能力を言っても叶えてくれるらしいからな、私の場合は不老不死さえあればいい、特殊能力よりも自分の知識欲を満たしたかったからな」

「はっはあ」

「それにしても君自身が異常者になって脱出したから何か脳への干渉の能力かと思ったが違うのか? あの異常行動はいったいなんなんだ?」


と聖は疑問をぶつけた。

猛は


「あれは自分の頭を指の部分で触れて液状にして脳まで指を付けて触れた部分をちょっととかしたら出来た。正直死ぬ鹿本は覚悟したんだが上手くいって良かったよ……本当に良かった」


それを聞いて聖は


「なるほど、まさに命がけだったんだな、なかなか度胸あるじゃないか! 気に入ったよ!」


と猛を褒めた。

そして長谷川の自己紹介になった。


「長谷川(はせがわ) 勝(まさる)です、チート能力は触れたものを増やしたり、増殖させたりする能力です」

「何でその能力を?」


猛は長谷川に聞いた。

すると長谷川は


「お金を拾って増やして楽しく暮らそうと思って……」


それを聞いて猛と聖は少し悲しそうにした。

が、聖は気を取り直して


「まあ、それは確かに使えるな、君の考えに対してちょっとしょぼいがな……って思ってたけどね!」


聖が笑いながら言うと


「うるせえ!」


と長谷川は赤くなりながら怒った。。

だが聖は


「だがそれは使えるじゃあねえか……取り敢えず答えは決まったようだな、」


そして、聖は


「取り敢えず、まずはその増殖能力を使う」


と言って聖は棚からあるものを出した。

注射器だった。

その中には薬が入っているようだ


「聖? いったいに何に使うんだそれ?」


聖はもう一つビーカーに入った何か粒のような物も出した。

その粒のようなものはうごめいていた。


「そっそれは?」


長谷川は恐る恐る聞いた。

すると聖は


「このビーカーに入っているのは菌だ」


と聖は言った。

2人は


「「菌?」」


と疑問に思った。

そんなもので何をするのか?

という普通の疑問である。


「君たちも覚えはないかい? 死刑にされている人間があるものを投与されたのを?」


2人はもちろん覚えていた。

忘れられるわけがない

あんな絶望を見せられていまだに2人の身震いが止まらなかった。


死刑で使われた最悪の薬である、

猛はビビりながら言った。


「そんな悪夢のようなものを作ったのはお前か?」


聖は笑いながら


「ああ、その通りだ、なかなかに怖かったろう?」

「まあな」


猛も長谷川も息を呑んだ。


((いったいこいつは何をするつもりなんだ?))

そして聖は


「長谷川君、猛君、君たちにはこの薬を投与してもらう、何心配するなビーカーに入っている菌の完全抗体を作る、そして長谷川にはこの菌を持って町に浸食させる、猛にはその手伝いとして働いてもらう。」

「いいけど、それって人……死ぬよな?」


長谷川はビクビクしながら聞いていた。


「ああ、そうだよ」

「何考えてんだ!」

「そうだそうだ!」


2人は猛反対した。

猛は続けて


「大体! 町の人を襲うだなんて何考えてんだ! お前はそれでも人間か!」


と怒鳴った。

すると聖は


「何? 町が減るだけだ、それにこの国は私が何とかしなくてもすぐに滅びて領民は力尽きて終わりだ。その時間稼ぎで斉藤が逃げることが出来るかを調べたい、そして領民にどれだけ効くのかを調べておきたい!」


ととんでもないことを言い出した。

2人は


「「別の方法は!」」


と聞いたら

聖はため息をついて


「あのさ? 君たちの命は私が預かってるし、それに君たちは、この国に狙われてるんだよ? 上手く脱出できても君たちは死ぬんだよ? なら破壊した方が良い!」

「それでもこの国を消していいわけが……」


途中で猛は止められて聖が答えた。


「この国はすでに奪い合いの状態にまで落ちている、私が手を出さなくてもいずれ落ちる、ならば滅ぼした方が良い、それに君を出せても君は周りの皆の目を欺いて狂ったふりをし続けることが出来るのかい? 自分の事を何とかできてこその人助けだろう? それに冒険するのに斉藤を助ける手助けをしてるのをバレたら君たちも私も死ぬだけだ」


と聖は言い切った。

だが、死にたくないのも事実なので、言うことを聞かざる負えなかった。

だが長谷川は聞いた。


「なら俺たちはどうやってその菌をばらまくんだ? 俺の増殖能力を使って何かするみたいだけど?」


と冷汗をかきながら聞いた。

すると 聖は


「猛君のその触れたものを液状化する能力を使って地中から菌を長谷川にばらまかせていけ、増殖がすごいけどこの菌は浸食が遅いから早めにして一気に私たちは町の皆を殺す、その間に斉藤は逃げる、そんなところだ」


と提案してくれた。

猛は作戦で町を壊すことに恐怖を感じて


「! くうう!」


が自分も助かりたいという欲求にがある

そして聖はそれを付いてきた。

そして聖は次のことを考えた。


「まずはこの問題をかたずける」


と2人を見て言った。

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