第7話『元凶』

とある病院のような施設の一室で

猛は少女に話しかけた。


「で、えっと、お嬢ちゃんは誰ですか?」

「誰がお嬢ちゃんだ! 転生した際も高校生だったし今ではお前よりだいぶ年上だぞ!」

「はっはあ……」


信じられなさそうに猛は頷いた。

姿としては白衣を着ている少し賢そうな黒髪の幼そうな女の子である。

見た目が完全に小学生にしか見えないのはきっと発育が良く……

無いと思っていたが、猛は胸元を見るとかなりの巨乳であった。


「おい、私の胸元で大人かどうかを判断するのは失礼ではないのか? せめてここは貫禄とかお姉さんらしいとかというのがセオリーだろう!」


と怒り気味で少女は言った。

流石に失礼と思い猛は


「えっと、申し訳ございません、見た目で判断したのは謝ります、すみませんでした」

「ふむ、よろしい」

「全く、そのやり取りいるのかいな……」


長谷川は呆れながら見ていた。

そして長谷川は


「取り敢えず今後の事を話せよ、聖(ひじり)」


そして聖と呼ばれた少女が


「さてと、君たちはいわば俺Tuee! でチートを持ちながらこの異世界に転生したはずだ、ちなみに死因はなんなんだい?」

「俺はトラックに跳ねられてという良くあるセオリー通りだ」

「私は最初エリートサラリーマンだった、だがある日を境に一変した。泥酔して立ちションしたところをオネエに見られてセクハラでリストラ、妻も子も失い、それどころか貯金も全てを悪徳検察官に合法的に奪われた。そしてしぶしぶホームレスをしていたところに動物園のように子ども達が集まり一斉に『ゴミは燃えるごみ!』という言葉と共に火炎瓶を投げられて焼死した、最近の子供は猟奇的だね……」

「何! その壮絶な死に方! てかオネエに見られてセクハラになったの!」


猛はかなりドン引きした。

聖は


「まあ、取り敢えず死んで転生したんだろう? 私もそうだった、告白してきたロリコンニート野郎を完膚なきまでに振ったら『君を殺して僕も死ぬ!!』とか言われて刺殺された」

「なんかよくあるのが俺だけなのか……」


と猛は少し悲しそうにした。


「まあいいじゃないか、それはどうでも! それよりも今だ!」

「そうだぞ! 少年! 今を大切にするんだ! 死んだときの事なんて対して関係ないさ!」


と2人は励ましてくれた。

取り敢えず猛は気を取り直した。

そして、話を進めた。


「そして、その身体能力のあまりの向上のせいで君たちは牢獄に入れられてさぞ不安だったろう」

「ああ、ビックリしたのが少し強めで殴っただけで大男が死んじまったなんて今でも不思議だよ」

「俺もチンピラを懲らしめるつもりがまさかこんなことになるなんて……」


長谷川と猛は俯いた。


「まあ、そんなところで捕まり残虐な処刑内容を見せられて少しずつ慣れ、そして自分がそれに直面するという苦しみを味合わされたという流れを過ごす予定だったな、だが猛君が半ば強引な作戦を勝手に決行して巻き添えをくらった長谷川さんと共に今ここにいるという状態だ、分かるね?」

「「はい」」


猛と長谷川は頷いた。

聖は


「まあ、長谷川は私が見つけた時点で少し強引にお願いすれば連れ出してOK  だと思うんだが、猛君の場合は少し特殊でね、あの場で精神的に異常をきたしたにもかかわらず今ここで普通に接してしまうと確実に私の権限をもってしても君を助けることが出来ないだろう……」

「!! 嘘!」

「本当だよ、猛君」


2人に言われて猛は危機感を覚えた。


「いや、長谷川さんもかなりまずいぞ? 君は気絶したので一応連れ出しただけみたいだから無理の可能性がかなり高いからまだ希望を持つのも早い」

「マジかよ……」


2人は真っ青にしながら俯いた。


「まあ、今はまだまだ時間があるからゆっくり話そうじゃないか」

「「はっはあ」」


2人は困ったように頷いた。


「ところで2人は子の死刑制度が成り立ったことに関してどうしてか分かるかね?」

「えっと、確か昔横暴なお姫様が恨まれて無残に殺されたのにそれをあっさりと殺してしまったことに王様が嘆いたんだっけ? それで他国の人間を実験して今の苦しめる死刑制度を作ったんだっけ?」

「そうなんだ、それの詳しい話を聞かせてあげよう、それは私が転生したばっかりの頃になるんだ……」


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昔々あるお城にとても美しいお姫様がいました。

ある日の事

お姫様はいつものように愚民どもを見下すために城下町へとお出かけしました。


「わあははははははははは! 愚民どもが意地汚く我が落とす金を拾う姿はまさに餌をむさぼる豚のようですわ! ああ、醜い醜い!」


お姫様は市民に金を与えて、意地汚く拾う様を観察するのが楽しくて仕方ありませんでした。

市民たちはお姫様が慈悲で落とす金を意地汚く拾っていました。

そして


「ありがとう! 姫!」

「ありがとうございます! 金ずっ! じゃなくて姫!」

「感謝します! 金!」


と皆々、感謝の言葉を忘れません。

すると一人だけ意地汚く金を拾わない愚か者の少女がいました。

少女は金には目もくれません。

お姫様はそれが気に入りませんでした。

そして、馬車から降りて


「ちょっと! どうしてあなたは私が慈悲で落としている金を拾わないの! 愚民の癖に生意気よ!」

「え、はっはあ、すみません……」


少女は面倒臭そうに謝りました。

お姫様は


「はあ!! なんなの! むかつくわああ!!!」


とすごく不機嫌になりました。

少女は


「プ―――!! くすくす!! 今どき金で貪らしく拾うなんて! wwww」


ととお姫様を侮辱しながら、小声で笑いました。


「くいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


それに対してお姫様は悔しそうにしました。

そして、少女は四角の光るものを取り出しました。

パシャ! パシャ!!


「情けねえお姫様激写!」

「何よそれ! 何なのよそれ!」

「え、スマホの事?」


お姫様は自分が持っていない物を相手が持っていることがとても許せませんでした。

そしてお姫様は


「それ! 金でいくらするの! よこしなさい!」

「だが断る!」


少女はきっぱり断りました。

お姫様は怒りました。


「よこしなさいいいいい!!」


と言って無理やり取ろうとしました。

少女は


「もう鬱陶しい!」


と言ってお姫様を振り払いました。

すると

ザクン!


「へ?」

「へ」


お姫様の上半身と下半身が分かれました。

お姫様は血しぶきを上げながら


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! 痛い痛い痛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


と悲鳴を上げました。


「え、ちょ!! わあ!!」

「へ?」


助けようとした少女は血で足を滑らしました。

そしてそのまま少女のエルボーがお姫様の顔面にクリーンヒットしました。

グシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


「あ……」


お姫様の頭は飛び散りました。


「うわ! やべえ!」


少女は慌ててお姫様の散らばった頭をパズルのように治そうとしましたが戻りませんでした。


「きっさまあああああああああああああああああああああああああ! 姫になんてことをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


と馬車から降りてきた衛兵に少女は捕まりました。

そして、あっさりと死刑になりました。


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そして、聖は言った。


「ま、私なんだけどね!」

「「……お前かああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアい!!」」


2人は絶叫しました。

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