第5話『希望暗転』

「あいつら完全に異世界でも変われなかった奴等かよ……」

「竜さんが来た時からそうだったんですか?」


竜が文句を言っていると

猛は疑問に思い質問した。


「そうだな、最初は絶望のせいだと思ったがあいつらのあの自己紹介を聞いた瞬間もともとから諦めているダメ人間共だと思ったよ」


と呆れたように言った。

猛は手で穴を掘りながら聞いた。


「じゃあさ、あいつらは穴を掘ったり脱出のための努力したような形式がなかったってこと?」

「ああ、捕まってもうダメだと思ったんだと思うぞ、俺はこいつらが掘ったような穴があるか確かめたんだがそれも無かったし、何より看守の言うことばかりしか聞いてねえ!」

「そっそうなんだ」


と猛も他の皆があまりにもダメであると思った。


「俺は違う! 俺は絶対に逃げて見せる!!」

「竜さん」


猛は竜が頼もしく思えてきた。

猛は

「そう言えば竜さんは元の世界で何してたんですか?」

「……俺は親の借金を返すために働いて妹と弟の面倒を見ていた。2人とも博打好きだから俺がいなくなって大丈夫か心配だ……」

「そっそうだったんですね、俺は中学生でした」

「そうか、俺も中学生だよ、そのせいでバイトも年齢偽っていたからね」

「そっそうなんですね、すみません、そんなことも考えずなんとなく生きてて……」


と猛はちょっと申し訳なく感じてしまった。

だが竜は


「いや、それが普通だから、気にするなよ、学校にも行かずにニートしてたら人生舐めすぎだけどな」

「いや、さすがにそれはない」


と猛は言った。

すると竜は


「猛、お前今日は寝ていいぞ」

「え?」

「だって、ここに来てさすがに疲れただろう? 俺は慣れてるけど初日から飛ばすと大変だし、調子崩したらばれるかもだからさ?」


と竜は猛を気遣った。

それを聞いて


「え、え、いいのか? さすがに気が引けるんだが?」

「言ったろ? ばれるのが嫌なんだよ、どうなるか分かったもんじゃねえからな、先に寝てろ、俺のことは気にするな、看守の見回りの時間も把握してるからな」

「……竜さん、分かりました。また明日頑張ります!」


そう言って猛は先に戻った。

戻ったら皆寝ていた。

それを見て猛は


「全く、どうしてこの人たちは助かろうと努力しないのか……」


そんなことを考えながら


「俺も寝るか、明日に備えないと」


と言いながら休眠した。


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次の日

朝目を覚ました猛はとんでもないものを見た。


「おはよう、皆」

「おう、起きたか?」

「おはよう」

「さてと、朝から気分悪いもん見るぜ」


そう言いながら皆猛を見ていた。

猛はその異様な状態を見て


「?? 何かあったんですか?」


と冷や汗をかきながら言った。

すると斉藤は士会を塞いでいた場所を退いた。

すると猛はその光景を見て絶望した。


「何で……何で……」

「うううんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!」


そこには縛られいる竜の姿があった。


「竜さん……」


看守は冷たく言った。


「こいつは皆の進言でここを脱獄しようとしたそうだ、その罪で今日処刑することを宣言する!」

「!! お前ら!」

「だって殺されたくないし」

「死にたくないし」

「俺には任される仕事がある」

「巻沿いはちょっとな」

「まだ俺時間あるからなあ……

「それに……」

「「「「「「看守が時間変えてやって来たから隠しようがないし!!」」」」」」

「!!」

「何だ! お前も同じか?」


看守は猛の表情を見て確認をしてきた。


「!!」


猛はどうすればいいか分からなかった。

見捨てれば自分は生き残れる。

が、人間としての何かを失う

助けようとすれば

自分の命を消すことになった。


「ああ……あああああ」


恐怖により猛は真っ青になった。

看守は容赦なく


「どうなんだ? 同じか? 用意しようか?」

「ああ……ああああ」


震えて猛は声が出なかった。

すると竜は


(言うな! 我慢しろ! 俺だけが死ねばいい!)


と瞬きを三回した。


これは竜が、もしも自分にあった時見捨てろの合図と言うことを教えられた。

猛は分かっていた。バレた竜が悪いことを

しかし、それでも事情を知り個々のやる気のない連中より親しかったものである。

しかし、助けようとしたところで自分が死ぬだけ、

竜はそれだけが恐ろしかった。

猛はそれを聞いていた為、心を鬼にした。


「しっ知りませんでした……」

「ふーん、まあいい」


看守は気にはなるようだが、気にしなかった。


「んん」


竜は嬉しそうにしながら頷いた。

そして、看守は


「ま、さてと、執行するか」


と言って死刑が執行された。


「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!」


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猛は竜の死体をみんなと一緒に埋めながら


「もう、無理だ……」


と言って顔を真っ青にしていた。

それを見て斉藤は


「いい加減慣れろよ……」

「慣れるかよ、こんなこと……」


と言った。

斉藤は


「もうやだ、どうすればいいんだ……」

「待てばいいのさ、死ぬ時間を」

「いやだ」

「強情だな」


斉藤は呆れたように言った。

そして猛は聞いた。


「看守が見回る時間が変わるのって珍しいんですか?」

「いや、いつものことだよ」

「!! ドっどうして言ってくれないんですか!」

「え、言わないとだめ? 別にいいじゃん……それより早く埋めるぞ」

「!!」


猛は絶望した。

逃げるための味方はここには皆無、

竜が言っていた意味が分かった。

ここに逃げようとする者がいないということを

それどころかここで最期を遂げようとしている。

そして、自分では勝ち取ろうとせずに相手が作ってくれるのをひたすら待つだけの人間であることをそして猛もこの状況を見て


「もう……ダメだ……」


と絶望して諦めた。

屈したのである、猛自身も


「それでいいんだよ、猛、俺たちは死ぬんだよ……」


と斉藤は笑いながら言った。


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そしてかなりの日数が経った。

もうすでに残りは3人になった。


「少なくなったな」

「厨二病、ドルオタ、ニート、自称イラストレーターと死んでいったな」

「ああ、もうすぐ俺の番だ、怖いよ……」


猛と斉藤の言葉に長谷川が泣きながら入った。


「助けてくれよ~」

「「無理ですね……」」


2人は揃えて行ってしまった。

長谷川の期日はあと5日後である。

迫りくる死の恐怖に長谷川は日に日にやつれていく。

そして、その次は斉藤の番だ


「ああ、俺、最後にお前らに会えて良かったよ~」


長谷川は涎を出しながら言った。


「そうか、それは良かった」

「ああ、俺も忘れないよ、長谷川」


そう言って2人は仰向けになった。

そして、再び死を待つ時間が始まった。

猛は思った。


(ああ、俺のチートが役に立たないで終わるのか……あああ、使ってみたか……!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)


猛の頭に雷のような閃きが落ちた。


(俺のチート……使えるか……いや! 危険だ、だが死ぬのならやってみる価値があるかも!)


そう思い猛は何かを決意した。

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