第3話『執行』
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!! んんんんんんんんんんんんんん!!」
椅子に縛られて圭介は呻き続ける。
猛は嫌な汗をかき始めた。
「何だ! 汗が止まらない! どうしてなんだ!」
「それは人間が感じ取る野生の勘って奴だ、普段は平和ボケしていて何の役にも立たないがこういう極限状態だといきなり働き出すんだよ……俺もすごいだろ?」
と平気そうに言っている斉藤ですらかなりの冷や汗をかいていた。
「何なんだよ! 止まらねえよ! いったい何が始まんだよおおおおおおおおおおおお!!」
と自分の異常に竜も恐ろしく感じていた。
すると先ほどの看守が
「では今からここで、死刑を執行する」
「「!! こっここでかよ!」」
「ああ、お前らはここでこいつが殺されるのを見て一度精神を壊すんだ、そして何度も何度も出会った仲間が殺されるのを見て慣れていき、そして自分の番になった途端、おぞましさと恐ろしさが一気に押し寄せる、その状態で死刑を味わってもらう! いいな!!」
「「!!」」
「ここではこれが普通だ、俺たちもいずれこうなる……その前に自分の死刑の日を聞かされるんだが意外とそれを聞いても最初は大したことないと思ってしまうんだ、そりゃそうだ、ずっとここで殺されるのを見て来たんだから、でも大抵いざ自分が殺される日が来るとこうなる……」
そして、圭介も今日という日が来るまではそうだった。
前の日などは一緒にいた仲間にお別れの挨拶をするぐらいだった、
しかし、その日が来るとさすがの圭介も今まで見てきた死んでいく仲間を思い出して恐怖が心を支配した。
その上、3日後と聞いていたにもかかわらずいきなり火を短縮、
そうやってこの異世界では彼らの罪を償わせてきた。
そして、今まさに死刑が執行される。
斉藤は2人に言った。
「お前らは見るのは初めてだろ? 覚悟しろ、ただでは死ねん」
そして、高橋 圭介の死刑の死刑が始まった。
看守は注射器を取り出した。
「これは人を苦しめて殺すことが出来る薬だ、まあだからと言って致死量を入れるわけではないだから死なない程度の量、そして最も苦しみを感じる量をこいつの体に投与する!」
そう言って看守は圭介の腕に注射器を刺した。
「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」
圭介は口を塞がれ、耳を塞がれ、目を隠されているため、腕の痛みがなんであるか分かっていない、しかし痛いことが分かるためかなり恐ろしいのだ、
本来人間は見たり聞いたりすることで情報を得ることで、
少しは覚悟をすることで痛みを中和できるが今回はそれが出来ない為、
圭介は恐怖と共に痛みを味わった。
そして看守が全部の薬を投与し終えると
圭介は
「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!! うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」
と呻く
すると圭介の体に異変が起こる
皮膚がぼこぼこと腫れだしてそこから風船のように
パン!!
と破裂!
そして、そこから血が噴き出す!
目隠しをしていたにもかかわらず、目を覆い隠している布の下から血が垂れだして
耳を覆っていた布は血で濡れはじめる
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」
と呻きだす。
そして看守は続けて
「お次は電気だ、電気魔法で苦しめるがこれも致死量ではない」
と言って看守は
「サンダー!」
と言って圭介に電気を浴びせた。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」
ぶるぶると震えて圭介は呻く。
それを見ていた猛と竜は
「「おええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」
と吐き出した。
先ほどまで離していた仲間が無残にも殺されているからである。
猛は
(何なんだよこいつら! ここまでするか! いくらなんでも酷すぎる!)
と考えていた。
だが、看守は関係ないかのように死刑を執行し続けた。
斉藤は言った。
「これがこの異世界での死刑、体が持つまで苦しめる。そして体が最後には生命活動を停止させて終了となる死刑だ」
すると看守は圭介の口を覆っていた布を取った。
すると圭介は
「殺し……て、お願い……お……ね……がい」
「まだ駄目だ、お前の体は生命活動を停止していない」
そう言って看守は圭介に熱湯をかけた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
そして、圭介はグッタリとした。
看守は圭介の頭に手を置いた。
そして、圭介の体が少し光って看守は手を退けた。
「終わったか」
斉藤は寂しそうに言った。
そして看守は
「片づけておけよ、このゴミ」
と言って檻の鍵を外して去ってしまった。
「さてと……仕事だ皆」
と斉藤の一言と共に
「さてとやるか、桐田! 山本! お前らも手伝え!」
「案内する!」
「ウウ……一体なのを?」
「お前ら、こんなの人間じゃない」
2人は震えながら言ったが
「もう俺らには分からない気持ちだな、正直最初は俺らもそうだがこれをしないとダメだからする、手伝え」
そう言われ2人はしぶしぶついて行くことにした。
皆圭介の死体を持ち上げて運んで行った。
竜はふと思ったことを言った。
「今のうちに逃げること出来るんじゃねえのか?」
すると斉藤は
「前もそう言った奴がいたが、バレて今のような死刑が執行された」
「!! どうして逃げられないんだ? 俺たちはチート持ちなんだぞ?」
「この国を全て敵に回したらそうなるさ、俺たちは子供だ、そう何度も人を殺して正常でいられるわけがない……そいつも結局壊れてもう殺したくないと言って死刑を受け入れた。
同じなんだよ、結局……」
そう言って斉藤は諦めたように言いながらある場所で止まった。
そこはフェンスだけのある庭のようなところだった
しかし、悪臭をかなり放っていた。
「ウウ! 何て臭いだ!」
「これは!」
「人の腐敗時の臭いさ」
「俺らは慣れたけどね、まあ逃げようと考えてフェンスに触れるなよ」
斉藤は注意を呼びかけた。
それに対して竜は
「何で?」
と聞いた
すると斉藤は
「こうなるからさ」
と言ってそこにあった石をフェンスにぶつけた。
バチイイン!!
そこには高圧電流が流れているようだ。
「ここは俺たちが住んでたところとは違うが魔法で電気を付与できるみたいだ、しかもそれも死なない程度だから死刑は執行される。変な気は起こさない方が良い」
「ク!! 俺のチートじゃ無理か!」
「まあ、大抵無理だろうな」
と斉藤は竜に言った。
そして皆穴を掘りだした。
「何やってるんだ?」
猛は斉藤に聞いた。
「こいつを遺棄するんだ」
「!!」
「仕方ない、片づけないと酷い目に逢うからな」
皆怯えながら穴を掘り続けた。
そして、作った穴に圭介を入れて埋めた。
「こんなの、おかしい」
猛はあまりの異常な光景に精神が不安定になっていた。
すると斉藤は
「ここが異世界だからこれは普通なんだよ、俺たちが住んでいた平和ボケ日本とは違うんだ」
「だからって、こんなの……」
と竜は涙を流しながら言った。
「すぐ慣れるさ!」
と斉藤は2人に優しく言った。
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