第5話 僕の気づき
青年は、その手に花を持っていた。オタクっぽい容姿に明らかに似合わない花束。彼女のもとに歩み寄ると、地面にその花を置いた。
青年が置いた花の近くには、ほかにもこの電気街に見合わない花が置いてあった。彼女はなぜか青年のことを無視していた。彼にこそチラシを配ればいいのに。
その時、また、背筋を通りすぎる感覚があった。
僕は昔から、不思議なものが見えるようなタイプだった。
ほかの人にそれを伝えても信じてはもらえないから、言いまわることもしなかった。ふとなにもない空間を見つめたり、壁の匂いを嗅いだりしたことはあったから、多少不審がられてはいたんだろうけど。
そして考えた。
彼女はもしかして、ほかの人にの目に映らない存在ではないか? だとすれば。
背筋を伝う感覚に対する仮説を変えて、僕は彼女のほうへ歩き出していた。
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