第5話 a man/目的地[11月22日13時_11月16日15時]

夢らしきところから持ってきたバックに拳銃が入っていたことよりも驚いたのは、おっさんたちがいうには今日は「11月22日」だということだ。寝過ごしたとかそういうレベルじゃない。もしかしたら彼女はもう警察かなんかの捜索に見つかって、家に帰されてるかもしれない。どうしてくれるんだ。しかし、そんなことを言ってもこの現状は変わらないし、内心、あそこまでの覚悟をした彼女がやすやすと捕まるとは思えなかった。





死ねって言って俺にチャカを向けて引き金を容赦なく引いたあいつは怖いもの無しって言うより、怖いものがあるから人は強くなれるんだろうな。そんなあいつのために似合うドレスっての探しているんだけどないものだ。無い物ねだりでは無いと思うんだけど見つからなくてなあなあのものを選んだらそれは当初の目的から考えると無いものになるのだ。よくもまぁヤクザの俺に逆らえるもんだな、あの女絶対まともじゃないしそれに惚れた俺は絶対まともじゃない。今もまだ耳にこびりつく死ねの一言と銃声。聞き慣れたはずの銃声だし俺の愛銃なのに、なぜあいつが使うとこんなにも違うのだろう?所詮、道具は道具で本質は使い手にあるのか。それはそれで少し悲しいな。俺は前にいる芋くさい髪型をして泣きながら謝っている女を右足で蹴飛ばし、散らばったゲロをもう一人、横にいたボブの女に舐めさせた。こんな日々にも刺激が足りない。どうしようもならない。俺は左手を思いっきり芋くさい女の口にねじ込んで、喉の奥ごと引っ張って取り出しながら、ちんこを突っ込んで性交した。どうしようもないけど意外と悪くない。俺はその女が動かなくなった頃、左手に持っていた女の喉から出た何かを脈絡なく飲んでみた。ごくん。そして横で泣いていた女の首を思いっきり蹴りながら俺は喉を味わう、飲み込んでしまったから喉で味わう。同じ女でもなぜあんなに、こうも違うのだろう?「片付けておいて」と俺は部屋のドアの前の男に言って、部屋を後にした。その男はなんだか俺に憧れてる感じがしたから男のポッケにとりあえず5万を無理やりねじ込んだ。男は困り顔した後、俺を見て少し笑った。スマイル5万。良い買い物だな。

長い廊下をただ歩くのには3歩目で飽きて、俺は闇雲に電話帳をスクロールして止めたところにいた女に連絡をした。ミキって名前だった気がする。OLだったかな。そこそこ胸がでかくてフェラが上手いんだよな。俺はそいつに電話をする。電話して俺が知ったのは、そいつの名前はミキではなくミナだったってことと、電話が繋がらない場所にいるってことだった。名前を間違えたことには着信画面で気付いたんだよ。しかし、ミナは今まで電話をしたら仕事中だろうと出てくれたし、そのまま会ってヤることだって多くあった。というか9割そうだった。何してんだあの女。早く出ろよ。10分待っても出なかったし、その時間で俺は外に出て3分くらいで会ったもう一人の女と話が盛り上がったので、電話を切った。女の名前は思い出せないけどとりあえず俺は町の薄暗い路地でそいつとヤった。女は下手くそなくせに声だけはでかいので良い迷惑だった。ミナが電話に出ればこんなことにはならなかったんだ。

くそったれ。俺はその女とヤリ終わった後、ミナにもう一度電話をかけたが、それでも応答はなかった。こうなるとミナが何してるのか気になるのが人の性ってやつだ。

俺はヤクザの適当な部下にメールでミナの画像と共に、「目撃情報 最新」と検索をするかのように味気のない文章を、文字列とも言えるようなものを送った。この街は俺の組の庭だ。そこそこデカくてなおかつ街ともそこそこ仲が良い。そしてグーグルさながら4分後に、「午前中に天道虫公園の近くにいたらしいです。」という文面が届いた。どこから拾ってきてるのかはなんとなくわかるがどうやって拾ってきてるんだこんな情報。最近のOLは天道虫公園なんてとこに行くのか、知らなかった。

俺は部下を呼んで車を出してもらおうと思ったが、呼んでも来るまでそこそこかかる距離まで歩いてきたことに気づいたし、ちょうど前をタクシーが通り過ぎようとしていたので俺は手を上げてタクシーを止めた。時計を見ると3時を回ったところだ。手がかりくらいはあるだろうし、もしミナがいたら本気で拷問でもしてやろうかとも思えていた。

タクシーは俺を乗せて走り出す。「天道虫公園まで」と言ってからケータイで部下にメールを送った。「俺は天道虫公園に行く」これは俺が所属しているヤクザのルールだ。夜7時から朝6時以外の時間に外出するときは部下に伝える。安心安全な組だな。否、スリルが足りない。

景色は少しずつ閑としていった。

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