第4話アナリシスの非日常2
「時間がないとはどういう事?」
「魔の箱の人間はいつかため込んだ膨大な魔力を爆発させて災害を引き起こす。僕らの爆発はもう少しで起きるんだ」
黒髪の少年はそう言った。白髪の少年も悔しそうに横を向く。
「まあ、入ってよ。そしたら続きの話を聞くから」
私は部屋に入ると少年達に手招きをして家の中に通す。そしてちゃぶ台のを囲み座布団の上に着席する。タイミングよく湯飲みをメイが出し私は話を続ける。
「で、なんでこんなところに来たの?」
「この世界樹の頂上にたどり着けばそこで何でも願いが叶うっていう噂をきいたんだよ。そんで魔の箱治してもらおうと思ったんだ」
白髪少年はぶっきら棒にそう答えた。
「それは残念でしたね。ここには大したものはありませんよ。ここを作った主がこんな人ですからね」
「おい、それが仮にも主にする対応か」
「はい。そういったことを許容している主…アナリシス様ですから問題ありません」
まあ最初からこんな感じだし今更か。それにしても魔の箱とは……そして多分それはこの世界の人間が弱体化している要因だろうな。
「ところで、お二方のお名前は何とおっしゃるのでしょうか?このままでは私はお二人をお客様一とお客様二とお呼びすることになってしまうので教えていただきたいのですが…」
「真面目顔で言わないでよ!それにその表現じゃとっちがどっちかわからないでしょうが!」
「では、お客様黒、お客様白はどうですか?」
「いや、それ絶対二人のことお客様なんて思ってないでしょ!」
「はてなんのことやら」
メイがとぼけた顔をする。何だかすごく殴りたくなる顔だな。一発殴るか?
「あの、確かにメイドさんの言うとおりだと思います。自己紹介は大切ですよね。僕はナトリです」
「名乗る名前なんてな」
白髪の少年がそう言った瞬間にバシンッと強烈な音がした。そしてナトリから有無を言わさないようなオーラが放たれる。
「…ゼクス」
ゼクスはナトリのオーラにやられて小さくなりながら言う。
「私はアナリシス。こっちがメイドのメイ」
「どうぞよろしくお願い致します」
メイは丁寧に頭を下げる。
「それで、さっきの話聞いて思ったんだけど君達二人のその状態は治すというか解除する方法があるわ。そもそもその現象は自身の固有の魔力を放出できずにいるか、魔力うまく使う事ができない子供がなる現象よ。二人とも魔力は使えるようだから、才能持ちってことでむしろ凄いことよ」
私がそう説明すると二人はポカンとして顔を見合わせた。
「「えーー!!」」
「待ってそれって僕ら悪い存在じゃないってことですか!?」
「お前俺達治せるのか!?」
おう、私すごい勢いで少年に迫られている。
「うん、いいけど能力を開放した後に死んだほうがよかったって思うかもしれないよ。現に私は力の代償に永遠に終わらない命に苦しまれてる。何かが代償になるかもしれないしならないかもしれない…それでも後悔はしない?」
「僕は構いません。どうせ帰る家もないですから」
「俺も、後悔はしない」
二人は私の話を真剣そうに聞くと即答した。私は二人の真剣そうな目を見て覚悟を決める。
何となく助けた命だけど、責任持たなくちゃいけないね。
そして、二人に手をかざし、彼ら固有の魔力を体内から引き出す。そして遠い昔に私がそうされたように、今まで私がそうしてきたように二人の個人の魔力と人間の魔力の調律を開始する。
そして数分でその作業は終了した。
「終わったわ。瞳を閉じて集中してみなさいそれぞれに固有の魔力の存在が感じられるはずだから」
二人は何も言わずに私の指示に従う。
それにしてもこんなことも今の魔術師たちはできないのかしら?
だとすると彼らが死ぬしかない存在なのは頷けるわね。そして死ぬときの暴走を災害と呼ぶのも納得する。つまりこの数百年で魔法は衰退した。
ますますこの世界どうなっているんだろうと興味がわいてきた。彼らが自身の魔力を知れたらその後に聞こう。
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