第3話アナリシスの非日常

「楽しそうですね」


「うん、彼らはさっきの奴らとは違うっぽいしね。だから手は出さないでよ?……メイ」


振り返り少しだけ上を見上げるとそこにはメイがいた。メイは微笑みコクリと頷いた。そしてメイはアイテムボックスからテーブルと椅子、そしてにフティーセットにレンチトーストを取り出す。


「朝食がまだでしたので客人が来られるまでいかがですか?」


メイは再びアイテムボックスを開きナイフとフォークそして蜂蜜の入った小瓶を取り出す。


「うん、そうするよ」


私は席に着き紅茶を一口飲みフレンチトーストを六等分する。

そして一切れをフォークで刺し口に運ばずに紅茶の中に入れる。


「さっきの人達は記憶消して新しく適当に記憶入れて後は適当に処理しておいて」


私はメイに指示を出す。そしてフレンチトースト紅茶に蜂蜜を入れてみる。


「うん、あんまりおいしそうに見えない」


「ご自分で入れられたのでしょう?」


メイは呆れたようにそう言うと世界樹から飛び降りる。メイは狼達に伝達をしに行ったのだろう。後で私も狼達に会いに行こう。そして、もふもふなでなでしよう。


それにしても最近の人間は弱い。年月を重ねるごとにどんどん力が落ちている気がする。それともここに来る奴は皆何かしら欲を持ってるだけの実力のない奴らなのかな?何となく私は外の世界が見てみたくなった。でも、外に出るのは久しぶりでなんだか怖いな。いつも買い出しはメイはしてくれてるからメイに聞けばどんな感じなのか分かるのだろうか。

そんなことを考えていると下の二つの気配が大きくなった。そろそろ頂上に着くのだろう。私はフレンチトーストが乗ったお皿と蜂蜜の入った瓶を手に持つとこちらへ向かってくる二人の正体を見るために平面の終わりで二人を見下ろした。そこには黒い髪と白い髪の少年がいた。


私はフレンチトーストを見ると何となく彼らに向けて0二つ落としてみた。すると彼らはそれをかわす。メイのご飯美味しいのにな…

私はフレンチトーストと蜂蜜を床に置く。

そして彼らのうち黒い髪の方が先にこちらに上がってきた。


「はあ!」


黒髪は剣を振りかざす。私はそのすきにフレンチトーストを口に入れる。


「ほ、え?」


かわいい声出すじゃないかと思いつつ彼の口の中に蜂蜜を入れる。


「え、あ、おいしい」


ほっぺたを押さえながらそう言う黒髪の少年はとてもおいしそうに口を動かす。少年の体は少し骨ばっているからこの子はご飯を数日抜いていると想像する。

ぱちりと少年の青い瞳と目が合う。するとにこりと微笑んでまた幸せそうな顔をする。余程おいしかったのか。地面に落としたり紅茶の中に入れて放置したりと私は何をやっているんだろうか。


「おい何餌付けされてるんだよ!」


振り返るとそこには白髪のツリ目琥珀眼の少年がいた。私はすかさずその少年の頬を掴む。


「く、そ、がっ!」


白髪の少年は眉を寄せてとても悔しそうに叫ぶと私の手に噛みつく。少しだけ痛みが走る。私は黒髪少年と同じように白髪少年の口にフレンチトーストと蜂蜜を順に入れる。すると少年は顔を少し赤らめて美味しいと呟いた。私は少年から手を離すとテーブルの上にあるティーカップを取り中を見つめる。そして彼らに視線を戻す。


「なんで来たのか、君たちがガリガリな理由、教えてくれないかしら?私、今物凄く外の世界に興味があるの。だから教えてほしい」


少年達は顔を見合わせる。すると私達の後方から襖の開くと音がしてメイが現れ尋ねる。


「ご客人の準備はできています。アナリシス様の行動は私の予測範囲内ですから」


「準備がいいね、メイ」


私はメイに続き部屋に入ろうとする。


ああ、私にこんな力さえなければ…


手を見つめて私はこの数百年間年を一切取らなかったのだと思った。不老なんてどうやって手に入れたのかすかっり覚えていない。気づいたらそうなっていたそんなことを振り返っていると黒髪の少年が話し出す。


「僕らはっ!」


腕を苦しそうに押さえる。


「”魔の箱”なんだ」


襖の奥のメイと私は目を合わす。


「まのはこ?魔の箱って何?」


「魔の箱ですか。うわさでしか聞いたことがないです」


白髪少年も苦しそうに言う。


「だから、僕らにはっ……時間がないんだ」

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