第7話 劇場版、告知
ここは王京井の頭線と本戦の交わる乗り換えができる、明大前。
「ここまで順調ね。」
「どこがだ!?」
なんやかんやでも谷子たちは、みんな仲良し。
「よし! 3ターン目にいこうか!」
「おお!」
その時だった。1通の文字がスマホに送られてくる。この表現もラインという言葉は使えないとなると、ラインンやフェイスブッククという書き方にしないといけないのだろうか。
「道子!? RJ高尾駅に到着!?」
「なんじゃ!? そりゃ!?」
2ターンで道子が目的地に着いたというのだ。
「どう? 私の実力は?」
道子からメッセージが送られてくる。
「何をしたの!? 魔法を使ったの!?」
「いけないんだよ!? いかさまをするとドキドキするから!? ドキ。」
「どうやったのか、教えて。道子ちゃん。」
谷子たちは道子にメッセージを送る。
「いいでしょう。お教えしましょう。」
ここから道子の歩んだ道のりを回想する。
「まず1ターン目のサイコロの目が1だった。そこで私は山手線に乗らないで、湘南新宿ラインに乗ったの。山手線だと原宿、代々木、渋谷で3駅7分だけど、湘南新宿ラインに乗れば1駅4分で新宿に着くの。」
さすが鉄道大好き道子である。
「次に2ターン目。私のサイコロの目は4。そこで私は通勤特快に乗ったの。目的地のRJ高尾駅に、国分寺、立川、八王子、高尾の4駅だけで到着しました。ということは、渋谷からRJ高尾駅に行くのに停車駅は4駅だけ、サイコロの目で5が出ていれば、1ターン目で私は目的地に到着することが出来たというわけよ。」
最初から谷子たちには勝ち目の戦いだった。
「魔法より恐ろしい!?」
「いかさまよりドキドキする!?」
「素直に負けを認めましょうよ。道子ちゃん、すごいね。」
「ありがとう。谷子ちゃん。」
「鉄道とか電車って、おもしろいね。」
「うん。鉄道、大好き。」
こうして渋谷高校鉄道研究会の会員の4人は仲良しになった。
「雨降って地固まるってやつですね。ワン。」
「谷子さんと道子さんは安心だけど、エルメス様とドキ子さんは心配ですね。」
心配は現実になる。
「こうなったら勝負よ! ゲジゲジ眉!」
「誰がゲジゲジ眉よ!? あなたなんか谷子ちゃんのおまけじゃない!」
こうして栞とドキ子は戦争を繰り返している。谷子のおまけとは、グリココのおまけのイメージである。
「銀河系最強の魔法少女エルメス様の恐ろしさを思い知らせてやる!」
「何を!? こっちだってドキ子がどれほどカワイイか教えてやる! ドキ。」
まさに竜と虎が睨み合っている。
「どうでもいいけど、駅や線路を壊さないでね。」
周辺住民の家やマンションもである。
「どうせエルメス様は何も聞いてませんよ。ワン。」
「ドキ子さんも自分勝手ですからね。ニャア。」
ケリーとバーキンも飽きれて、眠たくなっている。
「銀河に輝く星々よ! 我に力を貸したまえ! 必殺! スター・ライト!」
宇宙からドキ子に向けて星々が降ってくる。
「迎え撃ってくれるわ! カワイイドキ子のドッキドキー砲! 発射!」
ドキ子は口から怪光線を吐きまくり、降ってくる星々を破壊していく。
「ギャアアア!? やめて!? 二人とも!?」
谷子には星のかけらやドキ子の怪光線が放射能のようなものをまき散らす。
「劇場版、ほんのおねえさん公開決定! ワン。」
「おまけで、銀河系最強の魔法少女エルメスVS大怪獣ドキ子! 絶対見てね! ニャア。」
どんな時もメディアミックス用の番宣は欠かさない。
「お客様にアナウンスします。王京線は星が降ってきたり、放射能のようなものが漂ったり原因不明のトラブルのため、全線で運転を中止しております。再開までお待ちください。」
「やっぱり止まっちゃった。」
いつになったら谷子は渋谷に帰れるのだろうか。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。