第6話 権利問題

 ここは京王井の頭線の下北沢駅。

「着きました。下北沢駅。」

 谷子たちは下北沢駅に着いた。

「道子ちゃんはどこまで進んだの?」

 谷子たちはJRルートの道子に文字を送る。

「こっちは6よ。負けないからね。」

 道子から返信が返ってきた。しかし、道子がどこの駅まで進んだのかは分からない。

「それでは2ターン目。谷子、サイコロを振ります。3が出ました。」

「明大前ね! ちょうど乗り換える駅ね。さすが怪獣ちゃん。」

「なによ!? ドキ子なら6を出せたわよ!」 

 これもチュートリアルの都合よく、京王本線に乗り換えるべく、明大前にたどり着く3が出る。6を出したら乗り換えてから、次に進むでいいのか。それでもよかったかも。

「さあ! 明大前へ、GO!」

「おお!」

 谷子たちは電車に乗り込んで、ギャグ作品には珍しい話をする。

「私が2020銀河系最強の魔法少女エルメス降臨祭を行うんだ!」

「それは違う! かわいいドキ子のドキドキフェスティバルを行うの! ドキ。」

 栞とドキ子は醜い戦いを車内で繰り広げていた。他のお客様への迷惑行為なので、車内では静かにしよう。

「このお話は鉄道を舞台にしてるけど、いいのかな?」

 谷子の素朴な疑問。名称の使用問題である。

「簡単にネットサーフィンして調べてきました。ワン。」

「そのための私たちみたいです。ニャア。」

「ありがとう。ケリーとバーキン。」

「ワン。」

「ニャア。」

 最近、ケリーとバーキンは栞の使い魔兼家族だが、どちらかというと谷子に懐いている。

「まず、企業名の使用はヤバイです! ワン。」

「ええー!? 思いっきり使っているよ!?」

「今度から、JRはRJ。京王は王京。東急は急東。NHKはKHNは分かりにくいからNHKKにしましょう。ニャア。」

 企業名は使用してはいけないらしい。

「でも、駅名や地名は使用しても良いらしいです。ワン。」

「そうなの!? 知らなかった。」

 商標権、著作権など素人にはよく分からない。

「次に商品名は良いらしいです。ニャア。」

「良かった。」

「昔、機動戦士ガンダムムで、ララアのモビルアーマーで「エルメス」というのが同姓同名で使用されています。もしダメなら、ガンダムムも再放送ができないはずです。ワン。」

 アニメの作品名も何らかの権利があるから、使用はダメなのだろう。

「良かった。栞お姉ちゃんのエルメスやルイヴィトン、ティファニー、リヤロドも問題ないのね。」

「たまたまの同姓同名で逃げ切れると思っておきましょう。ニャア。」

 この作品の根幹は守られた。

「また昔、CLAMPPの魔法騎士レイアーススのキャラクターや世界の名前は自動車の名前で物議をかもしました。公式に自動車会社から許可を取ったとの発表もなく、自動車の名前を無断使用してもOKという認識が広がりました。ワン。」

「作者名やタイトル名も勝手に使用できないんだね。」

「他にプロ野球ゲームの選手の実名使用もプロ野球機構が、コナミミ1社と独占契約で使用権を売り飛ばし、他のゲーム会社が選手の実名を使えない異常事態になりました。他のゲーム会社はコナミミにお金を払って使用するという中国みたいな感じになってしまいました。ニャア。」

「でも他のゲーム会社は、選手個人と契約して実名を使用していると言われている。ワン。」

「権利って、大変なのね。」

 谷子は異世界ファンタジーを書いていれば権利問題に引っかからないと素直に思った。

「大変つながりは、ディズニーニー作品。少しでもミッキーマウススとか、ドナルドダッククとかを使用すると裁判に訴えるそうです。ニャア。」

「勉強になりましたね。アハッ。」

 気がつけば乗り換えの明大前駅に到着した。


つづく。

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