第5話 メディアミックス?

 ここは渋谷の京王井の頭線の改札前。

「いくぞ! 高尾山!」

「おお!」

 谷子たちが目指す目的地は、JR高尾駅である。谷子、栞、ドキ子の3人。

「どうして、あんたたちがいるの?」

「犬のケリーです。エルメス様が心配だからついてきました。ワン。」

「猫のバーキンです。本当は登場させないとぬいぐるみの売り上げが上がらないからです。ニャア。」

 分かりやすく例えると、魔女の宅急便の黒猫のジジのようなものである。うわあ!? あれも魔法少女だ!?

「じゃあ、電鉄ゲームを始めるわよ!」

 スマホのゲームアプリの画面にラインやフェイスブックのような会話が流れてくる。

「おお!」

 こうしてJR東日本「そうだ。高尾に行ってみよう。」道子と、京王電車スタートの谷子チームの戦いが始まった。

「それにしても、京王電車は地味ね。JRみたいに吉永小百合様を起用すればいいのに。知名度がドカーンと上がるわよ。」

「ダメよ。京王グループは京王観光がJRでキセルして事件になっているんだから。これはJRと京王の代理戦争ね! ドキ。」

「エルメス様!? ドキ子さん!? そこは触れちゃあダメでしょう!? ワン。」

「そうですよ。JRも京王も良い会社ですよ。ニャア。」

 この時、火消し役にエルメスの使い魔兼家族のケリーとバーキンを登場させて良かったと実感した。

「でもJRは渋谷にアトレがないよ。だって渋谷は東急電鉄グループに支配されているもの。」

 アトレはJRのオシャレな駅ビル。しかし渋谷にはJRはアトレを持っていない。ホームの上でもいいから開発して、渋谷の覇者、東急の東急百貨店と戦うべきである。

「京王電鉄も、メインは新宿よね。京王百貨店も新宿にあるし。」

「でも新宿は小田急電鉄や、メトロも多いですから大変。ワン。」

「このメンバーだと、まともな会話ができる人間が谷子さんしかいません。ニャア。」

 谷子は本が大好きな女の子。基本、おでかけはしないが、1億冊の本で読んだ知識で話をしている。

「キター! ここよ! ここで銀河系最強の魔法少女エルメスちゃんをイメージキャラクターに起用して、大々的に売り出すのよ! そうすれば2020エルメス降臨祭が渋谷のスクランブル交差点で実現可能に!」

 これは栞の勝手な願望である。現在は完全なる谷子の「ほんのおねえさん」のおまけ、バターである魔法少女。2020エルメス降臨祭、危うし。

「ダメー! 栞ちゃんが降臨祭をするんだったら、ドキ子だって、2020ドキ子のドキドキフェスティバル! ドキドキ!を渋谷のスクランブル交差点で行うわ。新宿の京王百貨店の前でもサイン会、握手会、ライブ・イベントを行うわ! だって、ドキ子はカワイイもん!」

 これもドキ子の勝手な願望である。特殊能力がドキドキだけに、昔「ドキ子のアメリカ横断ドキドキクイズ! ドキドキ!」などとバカな話を書いたような。

「この2人の恐ろしいのは、サイコロを振らずに永遠と自身の野望を羞恥心も無く話し続けられるところですね。ワン。」

「私がサイコロ振っとくね。えい。」

 谷子はサイコロを振る。サイコロの目は4が出た。

「下北沢か。がんばろっと。」

 京王井の頭線は渋谷から、神泉、駒場東大前、池ノ上、下北沢である。

「やっぱり起用されるキャラクターは谷子さんのほんのおねえさんが一番まともですね。魔法を使って破壊活動をする訳でもないし、世間にドキドキの緊張感をばらまく訳でもありませんからね。国民的アイドルNHK教育チャンネルで純粋な子供たちに本の読み聞かせをして、大人も子供もお姉さんも、おじいちゃんとおばあちゃんにも大人気の谷子さんが宣伝キャラクターをやるべきです。ニャア。」

 このシリーズで手を汚していないのは、ほんのおねえさんだけ。

 

つづく。

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