第4話 JRと京王
ここは渋谷高校。鉄道研究会の部屋。部ではないから部室ではない。
「やっぱりべーヤンはカッコイイわね!」
なぜか部屋では堀内孝雄の演歌が流れていた。
「そうだ! みんなで高尾山に行こう!」
恐ろしいことに孝雄つながりでストーリーが始まる。
「なぜ冬山に!?」
「全国鉄道伝説へ、GO! 選手権に向けての練習よ!」
テンションが高いのは道子だけだった。
「寒いの嫌だ。私は温かいコタツでみかんを食べながら本を読むんだ。」
谷子はしっかりと否定する。
「谷子ちゃん、機関車トーマス3の絵本をあげるよ。」
「行きます! 高尾山でも、富士山でも!」
谷子は本につられて参加することになった。
「怪獣ちゃんが行くなら、私も行く!」
シスコン栞も参加。
「ドキ子ちゃん、高尾山でかわいい1日駅長さんを募集していたわよ。」
「はいー! はいー! かわいいドキ子が行くから待っててね!」
ドキ子も参加するので、全員参加ということになった。
「ここで私から提案。ハンデをあげるわ。」
「ハンデ?」
道子は谷子たちに提案する。
「私は渋谷からJRの山手線から出発して、新宿からJR中央線に乗って、ゴールのJR高尾駅を目指すわ。谷子ちゃんたちは、渋谷から京王井の頭線に乗って、斜めに近道をしていいわよ。」
道子は自分は遠回りするというのだ。
「いいの?」
「いいのよ。私の鉄道愛がどれだけ素晴らしいか、見せあげるわ。」
道子は鉄子として自信満々だった。この時点で西村京太郎トラベルミステリーのような、鉄道ミステリーが組み込まれている。この時点でネタが分かる人間はかなりの鉄道ファンだ。さらに話のオチまで、この時点で分かっている人間は人として1番素晴らしい。
「それでは勝負よ! どちらが先にJR高尾駅に着くか勝負スタート!」
「おお!」
これ学校から渋谷駅までマラソンや信号待ちで選手の差が着いたら、電車に乗るまでに1、2電車の違いが生まれる。まさにトライアスロン方式も可能。
「みんな、切符も買ったわね。」
「おお!」
今回は、お試し練習コースなので、差が無いように道子はJR渋谷駅の改札の前から。谷子たちは京王井の頭線の改札の前から始まる。
「なにかあったらスマホで連絡よ。」
もう設定は、スマホアプリのゲーム。「渋井谷子の奇跡。魔法鉄道伝説へ、GO!」でいいだろう。誰でも簡単に共有でき、競い合うことが出来る。分からない初心者は駅員さんにアプリの設定の仕方を聞こう。
「迷惑な! 忙しいんだぞ! しかも眠いし!」
駅員さんの本音が聞こえてきそうなので、アプリの説明書の配布。駅の構内の壁にはデカデカと、鉄道アプリのスマホの操作方法が誰にでも分かりやすいようにポスターが貼ってある。
「今から始めても、途中で次週へ、つづく。になっちゃうので、簡単な路線の紹介をします。」
これもアニメではないので、イメージがしにくい。それを補填しようというものだ。これを文字ではなく、キャラクターの会話方式にする。
「まず私のJR路線で高尾駅を目指す場合。所要時間は約1時間以上。料金は800円。京王井の頭線スタートの谷子ちゃんたちも所要時間は約1時間以上。料金は!? なに!? JRの半額以下の、360円!? 安すぎるだろう!?」
こんなにも料金に差があるのだ。ゲームに「所持金1000円以内で、目的地にたどり着け!」とか、「目的地に1時間以内にゴールしろ!」とか、マネーやタイムトライアルを導入するのもおもしろいかも。
「JR高尾駅の横に京王電車も来てるのね。なら、京王で高尾駅まで行って、徒歩でJR高尾駅に行ってもOKね。」
着々と外堀の説明を終えていくのだった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。