第5話 紫陽花

「 紫陽花 」


あなたと二人で

あいにく山稜は霧に隠れて見えないけれど

紫陽花が薄ぼんやりと手招きしてます


濃い目のサングラス掛けて

買った中折れ帽子なんかも被って

粋な恰好じゃないですか

歯が鍵盤みたいにピカピカですね


上り坂になったら横に並んで

お互いに腰に手をあて押し合いましょう

 そんなことしたらかえって重くなりゃしま

 せんか、なんて

知りませんよそんなこと


若葉が風に煽られたわわに揺れて

薄い縞模様の蝶が道案内するところ

高速道路もかすんで見えて


 夜景がきっときれいなんだわ


滑りやすいから気を付けて

青紫の半月を白いお皿に盛り付けしましょう

両手に花弁咲かせて歩きましょう


 紫陽花は茎で挿しても増えるから


ほらほらもうすぐ下り坂

くるりくるりと廻っていきます


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