第4話 帽子

「 帽子 」


日焼けした君たち顔が

笑って手を振る

瞳がとてもおおきいね

学校に行く途中なのかな?

それともお父さんの農作業の手伝い?


バスの窓がすれすれに

からだの横を通過していく


空はこんなに青く晴れているのに

オレンジ色の蝶や白に黒の縞模様の蝶が

いちめんの畑を横切っていく


またいつの日か

来ることができるのだろうか


君たちにハイビスカスの花が咲きはじめて

いまは晴れているけれど

きっともうすぐ滝のようなスコールがやって

 くる

そのときは

パッと傘をひろげて歩くといい

傘の色は黒ではなく

赤や黄やグリーンがいい

いつものように素足で歩くともっといい

道の端にはざんざと流れる川がすぐできる


きょうは日射しがとても強いから

一緒に帽子でも探しに行こうか


それまでは

背より高い芭蕉の葉陰に

そっと隠れているといいよ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る