ベッドで
天井。布団。壁。カーテン。床。それら全てが真っ白。私の病室。
今日は定期的にやっている検査入院の日。でも、思ったよりも病気の進行が速く長引いている。
──本当に私はそろそろ事切れるのかもしれない。その実感は、あまりにも空虚だ。思うところは、あまり、ない。
空っぽの意識はいつの間にやら手紙の方に向いていた。
書いた手紙は最初、小林先輩に頼むつもりだった。だが、私はふと寂しくなった。先輩が手紙を渡し、3人がそれを読む。なぜか、それだけでは一方的に感じたのだ。だから私は、誰かに付き合ってほしくなった。つくづくわがままだと思う。
私が死ぬ前に書いた手紙について誰かに本気で考えて貰いたい。
そんな下らない考えが、いつからか抜けなくなっていた。そして眞琴に手紙を配ってもらうことを考え付いたのだ。母にバレないため、と言うのももちろんだったが、私の死後誰かに私と向き合ってほしいと言う欲が理由の大半を占めていた。
だから言葉遊びを入れてみた。よく分からないヒントを出してみた。──楽しかった。
私が死んでも誰かとコミュニケーションを取れるような気がして奇妙な心持ちがした。
そして眞琴への手紙には、感謝をひたすらに書いた。大好きだとも。それに恋愛感情は一切ない。2人の間にあるのは友情だ。そうでなくてはならないのだ。でないと、眞琴は前を向いて生きていけない。
そして最後、付き合わせてしまったことへの謝罪を書いた。
こんなことに付き合わせてしまい、眞琴には悪いと思っている。でも、私はそれがとても嬉しいのだ。眞琴が悩んでくれるということが。やっぱり私は、悪い子なのだろう。人を好くと言うことが、死が近付いてくると言うことがこんなに醜いものであるなら私は、知りたくはなかった。
でも、それでも私は、夏美が、雀さんが、眞琴が大好きでたまらない。
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