小鳥遊 夏美

 私、小鳥遊夏美は封筒を自分の部屋でそっと開けた。


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拝啓 小鳥遊夏美様


 お手紙が届く頃には、雨の多い季節になっているでしょうか。夏美はもう高校生になったのかな。

 夏美と会ったのは小学校1年生の時のことでしたね。友だちがいない私に夏美が話しかけてくれた日のことを、今でもよく覚えています。とても嬉しかったです。

 夏美は明るくて、いつも前向きで、正義感が強くって。私はそんな夏美をずっと尊敬しています。

 急に話題が変わってしまいますが、言いたいことや伝えたいことはたくさんあっても、ありすぎると書けないものですね。

 どうやってまとめようとしても、別のことがどんどん思い浮かんできて、書くことに悩む始末です。

 今までしてくれたことのお礼、夏美は今どんな風に過ごしているか、将来はどうなるのか、話したかったことがありすぎて、中々筆が進んでいません。優柔不断ですね。

 そして、夏美、何よりもありがとう。友だちでいてくれてありがとう。何百回言っても足りないのに、限りがある紙に書き尽くせるなんて思ってないけどありがとう。

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 私はここで読むのを一旦止めた。あと何枚も続いているのに。

 なぜかというと、涙がこぼれそうになったのだ。

 だが、泣くと手紙にボールペンで書かれた文字が滲んでしまうだろう。美紗が残してくれた手紙に、そんな悲しい跡を残すのは嫌だった。

 この手紙はいつか、私が泣かずに美紗のことを受け入れるようになれる日に絶対に読むから。そんなときに、涙で滲んだ文字なんて見たくないから。

 手紙に泣くことなんか、できないのだ。

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