果樹園

果樹園

僕は木　実のなる木

みんなは真っ直ぐ立っているけど　僕だけすこしへっぴり腰

果実が実る時期が来て　みんな大きな実を付けた

僕のは少し小さいし　形もでこぼこしていたけれど

きっとおいしい実がなった

いっぱいいっぱい太陽浴びて　もっと大きくなりたいけれど

頭にあみがあたってる　もっと大きくなりたいけれど

伸ばした枝からおじさんに　これじゃだめだと切られちゃう

よくばりだったかな　それなら来年、もっとおおきな実をつけよう

根っこも伸ばして　いっぱい栄養をためて

きっと綺麗な実をつけるんだ

次の年　僕は頑張ったんだ　だからおおきくてきれいな実がついたよ

僕のまわりの木は　まえよりも実が小さくなってたんだ

僕はいっぱいがんばったけど　みんなは僕より頑張ってなかったんだね

僕が大きな実をつけたから　おじさんびっくりしていたよ

僕がみんなに勝っちゃったから　みんなを心配していたみたい

来年は、もっと大きな実をつけるぞ

次の年 僕のまわりのみんながしわしわになっちゃった

僕は去年より大きな実がついたのに　みんなはしわしわ　どうしたんだろう

おじさんは僕の実を見て驚いていたけど　それからずっと暗いかお

次の日 僕のまわりの木が　みんないなくなってた

どこへいっちゃったんだろう　

他の同じ木のみんなは離れたところにいるから、ちょっとさびしいな

そうだ、枝を伸ばして会いに行こう

次の年 僕はみんなのそばまで枝を伸ばして、ひとりぼっちじゃなくなった

実は小さくなっちゃったけど　ひとりぼっちじゃなくなった

おじさんがいっぱい怒ってる　実が小さいから怒ってるんだ

おじさん、いっぱい叱りながら　僕の枝をみじかくしちゃった

僕はまたひとりぼっち　ひとりぼっちじゃなきゃいけないんだ

だったら来年は、いままでで1ばん大きな実をつけよう

ひとりぼっちでもつらくないように　いっぱいいっぱいがんばるんだ

次の年　からだが少しへんだけど　僕の実はすごくおおきくなった

僕の実はおおきくなったけど、かたちがぐにゃぐにゃ 色もへん

みんなの実とはぜんぜんちがうけど　いっぱい大きい実がなった

おじさん、ほめてくれるかな　いっぱいわらってくれるといいな

あ、おじさんだ　僕を見ておどろいてる

実が大きすぎて　びっくりしちゃったのかな

あれ、またおじさんが怒ってる　すごくくらいかお

とぼとぼしながら僕のえだを1本折った　じーっとみつめてる

あれ、実をとらないでいっちゃった　どうしたんだろう

あっ　もどってきた　おじさんと　おにいさん

おにいさん　だれだろう　何か持ってる

おじさんが　僕を指さした

おにいさんがくる　へんなものをもってる

ぎゅいんぎゅいん　ぶろんぶろん　へんなものからへんなおと

おにいさんがおとを僕に近づける　何かが僕のからだに当たった

ばり　めり　がりがり　いたい　いたいよ

おにいさん　やめて　僕なにをしたの

ねっこがないと僕は死んじゃう　いやだ

やめて　おじさん　おにいさん　いたいよ

ねっこが―