第5話 発動(スタート)
空に浮かんだ
緑魔法の
『ロング』のスタイルを取った3人、すなわち青魔法の小室ひばり・黄魔法の小早川・緑魔法のさくら――彼女たちは、ステッキの
『天空の柱』にじぶんの魔法をいちばん最初に届かせられた魔法少女が、試合を制する。
『ロング』の3人に続き、詠唱スタイル『ショート』の3人、すなわち白魔法の松田小麦・黒魔法の代々木・赤魔法のトモカネも、『天空の柱』に向かってステッキをかかげ、
大時計の針が、いまにもゼロを刻もうとしている。
松田小麦は無我夢中だった。新人のじぶんが白魔法をあてがわれるのはわかっていた。だが、第一試合にじぶんが編成された、という事実は、やはり小麦をテンパらせた。番組編成的には、「ルーキーの魔法少女がいきなり開催のオープニングカードで白魔法!」という触れ込みで、顧客の興味を引き立たせる意図があって、その意図も小麦は理解していた。しかし、いきなり開催のオープニングカードで白魔法を任されたということが、
わかっていても、重圧に重圧を重ねたような重圧が、ステッキを握る小麦の両腕全体にのしかかってくる。
とにかく、とにかくコンマ
大時計の針がゼロになった。
松田小麦の放った白魔法が、『天空の柱』に向かい、一目散に飛んでいく。
代々木の黒い魔法の光が、小麦の白い魔法の光に接近するが、及ばない。
小室ひばりの青い魔法の光が、トモカネの赤い魔法の光にブロックされるが、トモカネの赤魔法とて、『天空の柱』に向かっていく小麦の白魔法の光には、及ばない。
小麦は無我夢中で白魔法を念じていた。
だから、代々木やトモカネや小室ひばりが、口を開けて大時計のほうを凝視していたことに気づくはずがなかった。
大時計は、
しかも、やがて緑色に――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます