企画作りは突然に編
顧問の突然の三年生引退発表により俺らは記者会見で問いかける記者並みに顧問に質問攻めをした。
「センセー、どうやって別れるんですかー」
「それはよぉ、君たちで決めてくれよな」
「先生! なんでもっと早く言わなかったんですか!」
「別にいいじゃねぇかよぉ」
さすがの顧問も困った様子。
いつもの余裕がない。
肝心の三年生も苦笑い状態。
先輩たちは引退の日ぐらい知ってたはずなのになぁ。なんで言ってくれなかったんだろう。
まぁ顧問にも問題ありだけど。
でも僕はある意見が頭に浮かんでいた。
引退にふさわしいかわからない、でもこの顧問なら歓迎してくれる意見かもしれない。
一か八かの思いで僕は口を開いた。
「先生、サツマイモがまだ残っていましたよね? それにスライムも。もしよかったらこの科学部にしかできない引退の会をやりませんか?」
「なにそれー、俺らにも聞かせてくれよ」
周りのみんなも興味津々の様子。
俺はゆるゆるな計画をみんなに説明した。
計画といえるかどうかも怪しいお話を。
「残ったサツマイモ、使い道に困っていましたよね? 先生。」
「おっ、おう」
「そのサツマイモでパーティーっぽいのを開くんですよ。ちょっとふかしたりして食べられるようにすればもう充分です」
みんなはこの意見に驚いている様子。
今まで学校で科学部が料理をするなんてなかったもんなぁ。
でも引退式で食べる芋はきっと格別だろう。ただ温めただけでも。
考えるだけでもおなかがすいてくる。
ただいま給食が終わって五時間ほど経っております。
「で、スライムはどうするんだよ」
顧問は興味津々の顔で聞いてくる。
芋の件はOKしてくれたのだろうか。
でもきっとあの大量のスライムが顧問も気になっていたのだろう。
使い道なかったしなぁ。
「スライムはペットボトルに入れてありましたから、ボーリングなんてどうかと思ったんですが…」
「おもしれー、早くやりたいなぁ。ほかの部活よりよっぽどいい引退の会になりそうじゃん」
顧問もうんうんとうなずいている。
まあ実質スライムが消えるわけではないんだけどね。
きっと賛成してくれたのだろうけど本番は明日だよね?
ともかくこれから始まるのはたぶんきっと今までにないほどの緩さの引退会。
ふかした芋を食べながらスライムを使ったゲームをする。
それでも楽しもうとするのがきっとこの科学部のいいところなんだろう。
たぶん…。
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