緩い時間への侵略者編
最高に緩いこの時間を阻止しようとする者が訪れるのはそう少なくはない。
僕は今日は理科室でのんびりと「中学生・自由研究」というシンプルすぎる題名の本を読んでいた。
別に研究するわけではない。
やることが無さすぎて読んでいるのだ。
ジーっと本を眺めていると急に扉が開く。
「科学部のみんな~、入ってもいいかなぁ?」
声の先にいたのは三名ほどの女子。
確か美術部の人たちだ。
科学部は顧問もそれほどうるさくないので他の部活の人たちが忙しい時間から逃れるために来ることが多い。
この人たちも科学部に遊びに来たという感覚だろう。
顧問は
それにしても科学部のみんなは反応が薄い。
こういうことに慣れすぎたのだろう。
「みんなはなにしてるの? 見てもいい?」
「いいよ。そんなに楽しい本じゃないけどね」
三人は僕の隣にきて顧問が積んでった本を読む。
自分自身もそこまで面白くて読んでるわけではないのにいいのか?
僕が巻き込まれているのを見てなぜだかかわいそうだと言いたげな目をする奴らが数名。
結局僕はせっかくの時間を邪魔されながらもただ本を読んだだけになってしまったのである。
科学部への侵略者から逃れる方法を顧問が出してくれることを願う。
いや、その願いはたぶんかなわないだろう。
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