緩い時間の緩くない活動編

 最近科学部に誇りを持っていた僕。


 だけど面倒なことはこの部活にだってある。

 ということを最近知った。


 今日はまた科学部とは離れた農業をすることに。


 この農業活動も顧問が好きだからやっているようなものなのだろう。


「しっかりいも掘ってくれよ~」


 顧問はせっせと芋づるをつかみ力強く引き上げていく。


 この時間が一番嫌いだ。


 苦手な虫たちがつるの上で大行進を始める。

 芋虫が先頭に立ちわけのわからない虫たちがその後を追っていくのだ。


 それを人間がよけながら掘っていくのはどちらにとっても苦痛だと僕は思う。


 あぁ、全然緩くないじゃないか。


 虫たちとの戦いが終わるころ。

 顧問は大きな芋たちを回収し、満足げな顔で呼びかける。


「さあ終わりだ~! 分け前あるから集まれよ」

「はーい!」


 みんなはジャージが泥だらけになっているのにも構わず顧問のところへ集まった。

 目的はもちろん分け前のサツマイモをもらうためだ。


「おいしいからな、持って帰れよ」


 みんなが文句も言わずに畑仕事をやるのはこれがあるからだ。


 この時間は何をやっても面白いというのは本当なのか。


 僕は虫との戦いは地獄で嫌だけど顧問の思いの詰まった野菜たちのことを考えたらたぶん本当なのだと思う。


 僕は虫のことは一切考えずにふかし芋を口へ運んだ。

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