第13話 突然の知らせ
それから数日後、また彼からメールが届いた。
「利香さんですか?
突然のメールすみません。
私は川口の会社の同期です。
実は川口は先日病気で亡くなりました。5年位前からガンを患っていました。その頃に離婚が成立してずっと独りで病気と闘ってきました。友達が多かった奴なのでみんなで支えていたのですが、若かったせいもあって病気の進行が思ったより早かったようです。自分もまだ信じたくない気持ちがあったので、美香さんへの連絡はどうしようか迷ったのですが、川口の気持ちを考えるとどうしても伝えたくて・・・。困りますよね?すみません。」
何が起きているのか分からなかった。理解出来ないと言うよりも、身体の細胞一つ一つが受け入れないように拒否している。頭で理解しないように邪魔してる。
「昔、利香さんとした約束があるって話を聞いたことがあって、どうしてもその話が忘れられなくて。
川口からは利香さんの新しい生活を邪魔したくないから忘れてくれって言われていたけど、きっと利香さんに叶えてほしい最後の願いなんだと思うんですよ。あの話をしてた時、あいつの目がやたらと真剣で。自分の病気の進行も、治らないことも、全部知ってたみたいで。いい歳の男が二人でわんわん泣きましたよ。恥ずかしさも何も考えないで、気が済むまで泣きましたよ。」
私だって涙が止まらない。別れたあのハワイを思い出す。
「これは絶対叶えてあげないとって思いました。利香さんに叶えてやって欲しいんです。」
あの時の約束。私も良く覚えている。
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