第11話 HYの『for you』

コンドミニアムに向かうバスの中で、彼から渡された曲を聴いてみる。



『2人が出逢ったことに

何か意味があるとするならば


こんなに苦しいのは

今だけだよと自分に言い聞かせて


胸の痛みが貴方をどれだけ好きか伝えているよ


愛する事が恐くなってもあなたなら大丈夫だよね


押さえきれない気持ちは何処へ行くこともなく


戻ることなんて出来ない

時計のようにほら


今あなたへあなただけに向かって

私は恋をしている 』



私がこんな気持ちでいたことを、彼は理解していたのだろうか?

彼も同じ気持ちでいたのだろうか?もっと早く、同じ気持ちでいることが分かっていたら何か変わっていただろうか・・・?


今さら考えてもしょうがない事を考えてしまうのは、嫌いで別れた訳じゃないからだね・・・。


涙が溢れた。次から次へと。



『逢えない夜が続く

眠れない夜も続いていくよ


あなたと私の恋は

難しいことがたくさんあるから


いくらお互いが思っていたって

決して繋がることはない


だから私はその日まで待つよ

あなたが大人になるまで


世界中でこんなにたくさんの人がいるのに

あなたと出会えて恋に落ちて同じ気持ちになれたのに


会いたい、会えない、今あなたに会いたい


あなたに会いたい 』



今まで自分の事しか考えていなかった自分を恥じた。

自分の幸せしか祈れなかった自分を恥じた。結局、彼の気持ちなんて考えたことなかったのかもしれない・・・


数ヵ月後に私は帰国した。新しい職場は地元の小さな調剤薬局だった。

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