第6話 突然の・・・

ある日、北海道に遊びに行った時の事。彼が仕事に行っている間、私は暇だったので、札幌駅周辺でぶらぶら買い物をしていた。かなり歩いて疲れたのでカフェで一休みする事にした。

「彼は今お仕事頑張っているかなぁ」なんて考えてニヤニヤしていたら、メールが届いた。

もう仕事が終わったのかな?とメールを開くと、知らないアドレス。件名なし。


《私達のお城をありがとう。パパ。》


すぐに解った。きっと奥さんだ。血の気が引いた。

そうか・・・。そうだったのか・・・。上手くいってるじゃん・・・。

離婚の話し合いは嘘だったのか・・・。私の事はバレてるのか・・・


これは私に対する奥さんの最大の抵抗だと思う。なんとか私の存在にダメージを与えるための作戦。でも、健気だね。

不思議と嫌な気持ちはしなかった。

守りたいものがあるってこういうことだ。騒がず、責めず、静かにダメージを与える。


急いで彼のマンションに戻り、書類らしき引き出しをひっくり返す。そこには彼の家庭がある町に一軒家を買ったという書類があった。彼の署名まである・・・。


まだ見たことない奥さんと子供の顔が頭をよぎる。そうとうな美女と可愛い子供を思い浮かべる。


「本当にこの人たちに勝てるの?」


不安はどんどん広がる。片付けながら気持ちが重くなる。


彼が突然帰ってくる。私は平然を装いながら、「頼まれた買い物しといたよ」と笑った。

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