05 ともだち
休み時間。ホームルームが終わると早速、彼らの周りにクラスメイト達が集まって、質問攻めをしていた。主にそのほとんどは、心晴が苦手な自称サバサバ系女子ばかりだった。両隣に編入生がいるため、心晴まで囲まれてしまっている。
「御影くん達ってどこから来たの?」
「埼玉よ。まあ、田舎の方だけど」
「2人は同じ学校なの?」
「そうなのよ~! というか、うちの学校って幼等部……いわゆる幼稚園なんだけど、そこから大学まであって、陽ちゃんは小学校からの付き合いなの~! 幼馴染っていうのかしら?」
「じゃあ、すごい長い付き合いなんだね」
「もう大親友よ。ね、陽ちゃん?」
御影が心晴を挟んだ隣にいる陽介の顔を覗き込む。その彼はというと、うんざりとした表情でこちらを睨んでいた。
「あ?」
柄の悪い返答は、容姿のせいで機嫌の悪い小型犬にも見える。いかにも「オレに話しかけるな」という雰囲気を
「ごめんねぇ、陽ちゃんってば、緊張してるみたい」
「そうなの?」
女子たちが陽介に聞くと、彼は顔を
「あ、ちょっと陽ちゃ~んっ!」
陽介は御影が呼び止める声を無視して、教室から出て行ってしまう。そのタイミングを心晴は見逃さなかった。
今だ!
心晴も席を立って教室から出て行く。
自分の席から抜け出せた心晴は静かに安堵を漏らした。
しばらく休み時間は、本を読むよりギリギリまで席を外していた方が良さそうだ。
(あれ?)
教室を出ると、廊下には他のクラスの生徒たちも編入生を見に来ているようだった。ちらほらと「ハーフでオネェの編入生が来てる」と話し声も聞こえてきた。あんな目立つ存在なら、あっという間に話題になってもおかしくはない。
「編入生が来てるらしいぞ」
「マジかよ!」
どこもかしこも編入生の話題で持ち切りのようだ。トイレですらも女子たちの会話が聞こえてきた。
(編入生の隣の席か…………)
集まってきたクラスメイトのせいで自分の居場所を取られてしまった気もしないでもないが、そう何日も続かないだろう。
(って思ったけど……)
教室に戻ると、やはりまだ自分の席には他の生徒達がいる。まるでその席が心晴の席ではないようにも思えてきた。そこで心晴はいつものことを思い出す。
そうだ、結局は変わらないのだ。周りは心晴に興味がない。心晴の存在は限りなく背景に近い。
どんなに日常に変化があっても、心晴の立ち位置は変わらないのだ。
キーンコーンカーンコーン
授業開始を知らせるチャイムが鳴り、それでも心晴の席から人が引かなかった。最悪なことに次の授業の教師もこない。
(どうしよう…………)
自然に人が退いてくれると思っていたが、教師が来ないので、そのまま会話が続行されている。御影も囲まれているせいで周りが見えないようだった。
一人で立っているのもおかしい。しかし、あの輪に割り込んでいくなんて、心晴にそんな勇気はない。
そんな時、とん、と背中を押された。
「何してんの?」
「え…………?」
戻ってきた陽介が背後にいた。猫のような目が不機嫌そうに心晴を見ている。そして、その目は心晴と自分の席を交互に見やった。
「あそこ、お前の席だろ? なんで行かないんだよ?」
「え、あ…………」
答えあぐねていると、陽介は心晴の机の方に顎でしゃくる。
「行けばいいじゃん? もうすぐ先生来るぞ?」
「で、でも…………邪魔しちゃ悪いかなって…………話、盛り上がってるみたいだし。私、どう考えても邪魔でしょ? なんて…………ははっ………………」
から笑いをして言ったことに心晴は後悔した。単純にあの場所に行きにくいと言えばよかったと思った。
陽介の顔を見ると、口がへの字に曲がり不機嫌な顔を通り越して、うんざりした顔に変わる。
「お前、めんどくせぇな」
彼は眉間に
「あ、はい。ごめなさ…………きゃっ」
ぐいっと心晴の腕を掴むと、陽介はあの集団に向かって歩いていく。
「ん?」
陽介に気づいた女子たちがこちらに向いた。
「あ、
「邪魔っ!」
食い気味に陽介は言い放ち、女子たちがびくりと震えた。
「ご、ごめんねー」
「席、戻るねー」
そそくさと女子たちは席に戻っていき、どんと陽介は席に着いた。
「陽ちゃん、あんな言い方はないでしょ?」
御影がそう可愛らしく咎めると、きゅっと陽介の眉間に皺が寄った。
「うるせぇ、お前はもうちょっと周り見ろよ? チャイムはとっくに鳴ってるし、コイツ、困ってただろ?」
心晴の様子に気づいた御影が、はっとして立っている心晴を申し訳なさそうに見上げた。
「そうよね! 席に座りづらかったわよね! ごめんね‼」
あわあわと謝る御影に、逆に申し訳なくなた。
「あ、いえ…………大丈夫だから…………えーっと、東雲くん?」
「何?」
相変わらず、口をへの字に曲げたままの陽介は、不機嫌そうに心晴を見やる。
「え、あ…………あの、ありがとう…………」
心晴がそういうと、彼はきょとんとした顔をした。そして、心晴から視線をそらした。
「別に、オレも座れなかったし。それに、なんていうか…………」
どこか言いづらそうにしながら、陽介はどこか歯切れが悪そうにした後、気づけば再び口をへの字に曲げた。
「お前がいないと教科書見せてもらえないじゃん。お前がいなくちゃ、オレが困るんだよ」
「いや~ん。陽ちゃんったらわかりやすいツンデレ~…………痛いっ!」
茶化す御影の背中を叩き、キッと心晴を見た。
「んで、次の授業ってなに? 予習必要なら見せて」
これ以上は何も言うまいと、御影も黙って叩かれた背中をさすっていた。そんな様子を見て、心晴はくすりと笑った。
「うん……次、英語はだよ……」
そういうと、御影は「げっ」と顔を青くした。
「どうしたの…………終夜くん?」
冷や汗をたらたらと流したあと、挙動不審に辺りを見てから腹を抱えた。
「あいたたたた…………アタシ、ちょっとお腹が痛くなっちゃった~……トイレに行ってくるわ~」
感情がこもっていない声で御影は言い、そさくさと席を立とうとした時、教室に教師が入ってきた。
「悪い、悪い! 遅れたわ。お前ら席につけー」
「げっ!」
タイミングが悪すぎると言わんばかりに御影が声を漏らすと、陽介は悪い笑みを浮かべた。
「そーだぞ。お前も席に付けよ」
教師の言葉に便乗して陽介が言い、御影はくっと仕方なく席に着いた。
「………………大丈夫?」
心晴がそう言うと、陽介が「気にすんな」と言った。
「御影は、英語の授業が苦手なんだよ」
「え……?」
「んじゃ、前回の続きから始めるぞ」
教師が教科書を見ながら英文を読み上げていく。そして、ふと、御影と陽介に目が留まった。
「お、新顔の奴がいるな」
びくっと御影が小さく震えたのが分かった。
「おい。そこの、いかにも英語が出来そうな頭の色をしてるヤツ。ここの英文を読んでみろ」
教師が指定してきた部分は、予習範囲外の例題と解説文だ。
おまけにその英文は長く、普段英語の授業で使わないような難しい単語が並んでいる。ハーフである彼に皆の視線が集まった。
御影は顔を青くしたあと、にこやかに笑って心晴から教科書を借りた。
そして、ゆっくり口を開いた。
「でぃす いず あ ぺん」
優雅に読み上げられた適当な発音の英語は、明らかに教科書に書かれている英文と違っていた。
「おい、お前はどこを読んでるんだ?」
教師の言葉に、周りの生徒が静かに肩を震わせている。御影は周りが笑っていようと、笑みを崩さないまま言った。
「あら、ごめんなさい。まいねーむ いず ぺんでした?」
「全然違うわ」
「じゃあ、あい あむ ぺん?」
それでも平然と言ってのけた御影に、笑いが堪えきれなくなった生徒たちが机に伏せ始める。
誰かが笑いが堪えきれず「ぶっ」と失笑したのに合わせて、一斉にクラスメイト達が笑い出した。さすがの教師も大きな笑い声を上げる。
「あはははははっ! なんだ、お前。英語ができそうな顔してるのに、英語できないのか!」
「失礼ね! ハーフだけど、日本生まれの日本育ちよ! もし私が英語ができないとしたら、日本の教育の仕方が悪いわ!」
「お、言うな? おい、新顔。名前なんだ?」
「
「バリバリの日本人か!」
「だから、そう言ってるでしょ!」
「よーし、お前が卒業するまでに、英語を喋れるようにしてやろう」
「別にいいわよ!」
盛大に笑い声が教室内に響き、御影は「失礼しちゃうわね!」とぷりぷりと怒りながら席に着いた。その様子を見て、陽介はニッと笑う。
「いいじゃん。英語ができないことが早々にバレて」
「よくないわよ! もう……教科書ありがとうね」
御影は心晴に返すと、まじめに板書を書きとっていた。授業態度はまじめではありそうだ。どちらかというと、あくびをしながら外を眺めている陽介の方が不真面目だろう。
彼らの存在は容姿以上に目立つ部分が多かった。
互いに運動神経が良く、体育の授業では女子たちから黄色い声がずっと上がっていて、うるさいほどだった。
午前中の授業が終わり、授業終了を知らせるチャイムが鳴った。号令をしたあと、心晴は二人が女子たちに囲まれる前に退散しようと弁当を持って立ち上がろうとした。しかし、陽介と御影の行動は心晴よりも速かった。
がしっと心晴の両腕を掴み、御影はにこにこしながら、陽介は仕方なくという顔をして「ごめん」と一言だけ言った。
「あ、え…………ちょっ!」
有無言わせずに心晴を連れて、二人はいち早く教室を出て行った。
連れて行かれたのは、屋上だった。心晴と解放すると、二人ははぁーと安堵を漏らした。
「よし、囲まれる前に動けたな」
「そうね、打ち合わせ通りね!」
「な、な、なんで? なんで私?」
なぜ屋上に連れて来られたのか分からず戸惑っていると、御影が微笑んだ。
「ほら、ずっと女の子たちに机を囲まれてたでしょ? 貴方の席も座れないし、移動もしづらいし。だから、いっそうのこと三人でご飯食べようと思って! ね、陽ちゃん?」
「おう、それにお前、友達いなさそうだしな」
「うっ!」
ズバリ的確なことを言われてしまい、言葉に詰まる。
「ちょっと、陽ちゃん!」
「だって、本当のことじゃん。それに、教室でずっとあんな感じだし、教科書借りてるお前の名前すら聞いてないしな」
陽介の言葉に、心晴はきょとんとしてしまう。
「そうよ。ずっと名前聞きたかったんだけど、聞けなかったし。名前、なんていうの?」
御影がそういうと、心晴は二人の顔を交互に見てから俯いた。
「えーっと、
改めて自己紹介すると、なんだか恥ずかしい気がする。しかし、御影はそんな心晴を見て、ぱっと表情が明るくなり、心晴の手を握った。
「心晴ちゃん! かわいい名前! アタシ、終夜御影。前の学校では御影ちゃんって呼ばれてたの。ぜひ、そう呼んで!」
「は、はい! えーっと、御影………………ちゃん?」
戸惑いながらも御影をそう呼ぶと、御影の頬に赤みが差し、一気に表情が緩んだ。
「はい! はい! 御影ちゃんよ! よろしくね、心晴ちゃん」
「ん。心晴か。オレは陽介。東雲だと言いづらいから、陽介でいいぞ」
陽介はそういい、そそくさとコンビニのパンの袋を開けた。
「しばらくは長い付き合いになると思うし」
「そうね。教科書はいつ届くかわからないしね! もし、良かったら心晴ちゃん、これからもアタシたちとお昼食べない? 迷惑じゃなかったらなんだけど?」
「え、いいの? 私とで…………?」
まさかの申し出に心晴は嬉しいが、逆に不安になってくる。高校に入学して友達ができたことがなかった。それに男の子から誘われるとは思ってもないことだ。
「おう。お前、友達いなそうだし。他の女子みたいに騒がしくないしな」
ぐさっ
心晴の心に言葉のナイフが突き刺さる。
「陽ちゃん!」
「だって、本当のことだろう?」
「それでも言っていいこととダメなことがあるでしょ!」
御影はまるで子どもを叱るように陽介に言って心晴に振り返る。
「ごめんね、陽ちゃんって全然言葉を選ばないから……」
「大丈夫だよ…………」
なんとなく、彼が直球な物言なのは分かっていた。それに自分でも分かっていたことを面と向かって言われるとだいぶダメージが大きかった。
陽介はぷいっと顔をそらし、御影は話題を変えようとお弁当を取り出した。
「まあ、せっかくのご飯だし、楽しく食べましょう! 心晴ちゃん、アタシのお弁当食べない? たぶん、アタシたちが無理やり連れてきたからお弁当とかご飯ってないでしょう?」
「あ……!」
たしかに弁当は教室にあるカバンの中だ。強制連行された心晴は弁当を持つ隙も無かった。
「えへへ、実はお弁当が二つ分あるのよ!」
「え、なんで?」
いくらなんでも編入初日で誰かと一緒にご飯を食べようなんて、と思ったが隣でコンビニのパンをかじる陽介を見て納得する。
「陽ちゃんが、お弁当作ったっていうのにパン買ってたの! この薄情者!」
泣き真似をしながら言う御影に、陽介はうんざりした顔をする。
「野郎が作った弁当を食うんだよ…………」
「言い方! またその言い方! 愛情を注いだお弁当に罪はないわ!」
およよよっと泣くふりをする御影に、心晴も同情する。
「せっかく作ってくれたなら、食べた方が…………」
「お前……弁当の中身を見てから言えよ…………」
「え?」
心晴は弁当の蓋を開けて
「わぁ! かわいい!」
まるで小鳥のようなウズラの卵。タコのウインナー。ハートの形をした卵焼き。カラフルな色合いのおかずの隣にあるご飯は、海苔で猫の顔が作られていてかわいらしい。
「かわいい! かわいい! これのどこが不満なの!」
「そうよ! どこに不満があるっていうのよ!」
「野郎二人がこんな弁当を囲って食ってたら、どう見ても異様だろう……食うのにハードルが高いわ」
そう言われ、心晴もハッとする。
たしかに、こんなかわいらしい弁当を男の子が食べるにはハードルが高すぎた。完璧なデコレーションを施された弁当の蓋を教室で開けた時には、はやし立てられるだろう。
「もういいわよ、心晴ちゃんが喜んでくれたもの……アタシの努力は無駄じゃなかったわ」
諦めたようにいい、御影が食べ始めて心晴も弁当を口にする。
「お、おいしい!」
「本当? 嬉しい!」
「本当においしいよ、御影ちゃん!」
卵焼きも柔らかく甘すぎず、好きな味だ。
「ズルいな……男の子なのにこんなに料理が上手なんて…………ん?」
再びあの疑問が心晴の中で浮上し、御影を見上げる。
「どうしたの、心晴ちゃん?」
「御影ちゃんは、男の子でいいの?」
「ぶっ!」
隣にいた陽介が咽込み、ペットボトルの水を飲んだ。
「まあ、気になる部分だよな…………」
「ごめんねー、紛らわしい喋り方よね? アタシ、こんな喋り方してるけど、心もちゃんと男だから安心して! ちゃんと女の子が大好きだから!」
それはそれでどうなんだと思うが、御影は続けて言った。
「実は私、女所帯で育ったから自然とこんな喋りと、趣味になっちゃったのよね……」
「お姉さんがいたの?」
「んー? どちらかっていうと、ご近所が女の子ばかりしかいなくて、遊んでいたのもお人形ごっことかおままごとばかりだったの」
「へー、そうなんだ」
なんとなく納得していると、御影は眉を八の字に下げた。
「変わってるでしょ?」
彼なりに自覚しているのか、彼は困ったように笑うが、心晴は首を横に振る。
「ううん。だって、趣味ってことは、それが好きなんでしょ? 私は好きなものを好きって言えて、続けられることは素敵なことだと思う」
心晴の言葉に、御影は豆鉄砲を食らったような顔をした後、両手で顔を隠した。
「え、どうしたの? 御影ちゃん」
何かまずいことを言ったのだろうかと不安になるが、それは杞憂だった。
「天使……ここに天使がいるわ。陽ちゃん、ここに天使がいる。羽は見えないけど、天使がいるわ」
「落ち着け、御影。ここにいるのはみんな人間だ」
陽介が冷静にそう返すと、御影は顔を隠していた手を取った。
「ウソよ、陽ちゃんが天使じゃなくても心晴ちゃんは天使に違いないわ!」
大真面目に言う御影に、心晴は苦笑する。
「御影ちゃんって面白いね」
「頭が足りてないだけだ」
「ひどい!」
違う意味でなかなか箸が進まなかったが、こんな楽しい昼休みは久しぶりだった。あっという間に時間が過ぎていき、午後の授業が始まる五分前に慌てて教室に戻った。
教室に戻ると周りからの視線が痛かったが、二人は気にせずに席に着き、心晴も席に着いた。
今日の授業が終わる頃には、御影たちを囲む女子たちはいなくなっていた。それもそのはず、彼らは授業が終わるたびに心晴を捕まえて教室を出てっていた。余計な質問攻めにもあわなくなった。
ホームルームが終わったあとにも心晴を捕まえて、素早く教室から退散していた。昇降口までくると、目立つ御影のおかげでまだ視線は痛かったが、それでも帰りを邪魔されることはなかった。
やっと一日が終わったという思いでため息を吐いて二人を見上げると、二人も同じような顔をしていて何だか面白かった。
ローファーを履くと、二人の隣に並ぶ。
「じゃ、またね。心晴ちゃん!」
「また教科書みせてくれな」
「うん、また明日」
校門で二人と別れて、心晴はイヤホンを耳にかけた。明るいポップな曲がすっと耳に入り、気に入ったフレーズを口ずさんだ。
「ああ、色づく街並みの全てが好き。
いつもは心に響かないフレーズが、少しだけ心晴の背中を押した。
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