出来事3~通称のしょうもない理由~ノンフィクション率90%

「おはようございます!」


「お、おはよう305さん」


「おう、おはよう!」


「ああ」


「ういー、おはよう」


あれから数日経ち、ツナギを無事に支給されたことにより外見だけではあるが俺もついに整備士デビューを果たすこととなった。


「で、あれから305さんの疲れは癒えたのかい?」


「はい、何とか…初日から心配をおかけしてすみません…」


ぱっと見かなりイケメンな部類に入るであろう帽子を後ろに被っている先輩が俺の体調を気遣ってくれる。

何てお優しい。


「彼の性格は私達が働き始めた頃よりも酷くなってるから、305君もいきなり洗礼を受けてきつかっただろうな」


「昔からあんな感じなのですか、社長て…;」


昔の社長についてそう語るのは若干小柄の(それでも俺よりは大きいが)穏やかな表情をした先輩。

とても温厚で親しみやすそうな印象だ。


「……」


「…ふー…」


それとは真逆に他2人の先輩方は手を洗う場所と思われるところでタバコを吸っていた。

朝の一服なのだろうか?それにしても距離が離れているのにこの煙の匂い、強烈である。

だがそんなのはどうでもいい。

俺は1つ気になる事を親しみやすい先輩方に聞いてみる。


「そう言えば俺はどうして305なんて呼ばれているんですか?」


「それはだね、昨日305さんに交換した部品としてワイパーのゴムを持たせた時にちょうどその持ってた位置が股間に近かったからだよ」


意味がわからない。

股間に近いからって一体それが305と何の関係があるのだろうか。


「実はあれは長さが305mmあって、それでちょうど股間にだったからそれで…くく」


「いわゆる男のアレに見立てた結果でそう決めただけなんだな」


ええと、つまりそれって単なる


下 ネ タ


というやつですね、はい。


「なるほど、それで俺が305と言われているんですね!納得出来ました!」


「そういうこと、改めてよろしくMr.305君!」


て、納得できるかー!!

何でこんなしょうもない理由なんかで俺の名前を決められないといけないんだ!

おふざけにも程があるぞ!


「はい、よろしく…お願いします…はは…」


でも当然そんなことをいきなり言えるはずもなく、この整備工場での通称はMr.305として通ることになったのであった。


新人整備士Mr.305、ここに爆☆誕

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自動車整備工場 ボヌダァDD Grief30 @kota2963

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ