第2話

ーーーーノーマントン、「ルベスタン中央本部:総司令室」

リーとアベルの前には、二つの重く厳重な扉がある。

二人は扉のとなりる顔認証システムをのぞいた。

『アベル・リピカス2区師軍、リー・チャオヤー2区準師軍、確認いたしました。扉を開口します。』

しばらくすると、ギー、と音を立てて扉が開いた。


中には、幾つものモニターと、どれがどれだかわからないボタンがある機械、そして二人の男達が立ち話をしていた。

アベル達に気づくと、男達は「おはよう」と挨拶をした。


アベルはすぐさま「おはようございます」と返し、それに続くようにリーは「はざーっす」と返事をした。

リーは男達を見て、「…ジェイク、隈やばくね?」といった。

ジェイクと呼ばれたスーツ姿の男性は、確かに大きな茶色の瞳の下に、色の悪い隈をこしらえていた。

「…はは、三徹でーす。」

拍子の抜けた声でジェイクが言うと、となりにいた金髪で軍服を着用しているジェイクよりも身長が低い男が、「ジェイク、もう休めよ、あとは私がやる。」と言った。

「シエちゃんが優しい…もう寝まーす。お疲れ様でーす。」

そう言い残してジェイクは部屋を出ていった。

「シエルさんも寝てないんじゃ…?」

シエルと呼ばれた男は金色の髪を無造作に後ろでまとめ、軍服姿で、ジェイクよりも身長が低くくメガネをかけていた。

「いや、私はさっきまで寝てた。しっかり1時間睡眠だ!」

「いやリーダー、そんなドヤ顔されても…」

リーは苦笑いした。


「あ、そうだ、僕ら、C-91区の援護に行っても?」

するとシエルはテーブルに置いてあった一枚の紙をアベルに渡した。


「えーと…これは…もしかして、いまうちの国って不利な状況だったり…?」

「その通りだ。」

「えーっ!?だってマスコミは優勢だって…」

シエルは苦虫を噛み潰したような顔をして、「あれは、嘘の情報を流した。というか、リー…うちから戦況は流すからメディアは見なくていい。今はもう無能だ。」

「じゃあみます。誤情報を流して自慢しているマスコミを見るのは面白いんで。」

リーはケラケラ笑った。


「リー、顔に性格が出てきてるぞ。でもシエルさん、なんで嘘の情報なんか…」

「ああ…真実を流したところで国民が不安がるだけだろう。だからあえてだ。別に今後負けるつもりはないし、負ける計画も立っていない。だからだ。国民には悪いが、少しく騙されてもらおうって、ジェイクと話したんだ。」


リーとアベルは同時に「相変わらずだ。」と笑った。

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