第45話 すきなさっかさんができましたの話

 やあ、おいらです。


 日が長くなってきましたね。春遠からじ。歯に唐辛子。どうでもいい〜。どうでもいいといえば、おいらの群発性冬眠症候群は治る気配もなく。寝ては覚め、お手洗いに行って、水飲んで、なんかしていると眠くなってまた寝る。これは、もしやナルコレプシーではないか? そしたら、あの劇薬リタリンが飲めるじゃないですか! わあ、期待しちゃうけど、まず、古賀先生は処方しないな。それが現実だ!


 昨日から、俳優・新井浩文容疑者が強制性交の容疑で逮捕されたと、大騒ぎですな。おいらは思うに、あの目つきはやばいなと以前から思っていましたので、そんなにびっくりしませんでした。それより強く思ったのはニュースショーで彼のことを“実力派俳優”って紹介するんですけど、彼は実力あるの? おいらは『真田丸』で彼が加藤清正を演じてるのを観たんですけど、ボソボソ喋ってさ、全然、清正のイメージと違うなあと思いました。他には缶コーヒーのCMでしか観ていないから判断が難しいけれど、彼は“実力派俳優”ではなくて“個性派俳優”だったのではないの? “だった”って過去形を使っちゃったけど、俳優復帰は無理ですよね?


 なんかさあ、寝てばっかりだから、物事が思うように運ばないんですよ。まあ、特にやることもないんですけどね。ははは。例えばさあ、お掃除なんかも、とりあえずキレイだからいいやって思っちゃう。絶対に、一皮むけば、埃の巣窟だよ。読書も全然進まない。ああ、今日は好きな作家の話でしたね。それは後ほど。

 それから、頭が痛いんですよね。ああ、寝過ぎだからかあ。肩とか背中とかからきているかもね。じゃあ、マッサージを頼みましょう。出張サービスね。ネットで申し込もうっと。ええ、最初に誓約書を書くのね。指圧師のお姉さんに性的乱暴はしませんっと。これでいいのね。じゃあ、待ってるよ。

 ピンポーン。

 はーい。えっ? あなたは新垣結衣ちゃんじゃないの。

「似てるって言われますけど、あたし、古垣結衣と言います」

 ウヒョー、頭に血がのぼる。興奮したおいらは古垣さんの頭を抑えてお布団に連れ込み、強制性交におよび、逮捕されました。

 というところで、夢が覚めましたよ。おいらにはクマとしての理性がありますからね。美人は眼福です。見るだけ。これも、最近はセクハラらしいね。気をつけて観察しようっと。


 やっと本題。

 おいら、歳もとってきたし、保守的になってきたのかな? 昔から読んでいる作家さんの小説しか読まなくなってきたのさ。今は本屋で働いていないから、毎日、新しい文庫を見て、「これは!」っていうアハ体験がないからね。それに去年読んだ『現代詩人探偵』と『誰も死なないミステリーを君に』がひどかった、いや、内容を忘れてしまうほどの作品だったからさあ、ますます、ベテランや物故作家の本を読んでしまうわけ。

 そこに、青天の霹靂が! 詳細は前に書いたので省略しますが、おいらの前に一冊の本がおかれました。大門剛明『テミスの求刑』。大門剛明さん、知らない? 著者略歴を見る。へえ、横溝正史ミステリー大賞受賞者なんだ。三重県出身。龍谷大学文学部卒。ふーん。そんな感じ。その時おいらは、泡坂妻夫先生の『ヨギ ガンジーの妖術』を読んでいたのですが、たまたま短編集だったので、それを中断して、大門さんを読んだわけです。

 おいらは長い感想文は書けないので、簡潔に言いますよ。


「ここ数年で読んだ本の中で一番面白い!」


 内容を簡単にいうと、なんか、冤罪で刑務所に入れられた青年が自殺しちゃって、そのお父さんが弁護士に調査を頼んでいたんだけどその弁護士が殺される。青年を自白させたのは検察のエース検事だったんですけど、弁護士殺害現場にあった防犯カメラにそのエース検事が血まみれで映っていた。誰もが検事を疑い、しかも、検事は逃亡。しかし、本編のヒロインである検察事務員は、事件に疑問を抱いていく……

 下手くそな文章だね。まあ、現物を読んでみてよと言いたいところですが、なんと版元品切れ。しかも、バカ書店限定で復刻されるらしいよ。皆さん、図書館で読んでくださいね。


 おいらは大門さんの文庫をコンプリートしたかったのですが、中公文庫、軒並み増刷未定。おいらの裏の権力使って復刊させたる!

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