第30話 ぺこりのぼうげんステーションの話
やあ、おいらです。
全国の皆さん、ごきげんよう。世界の皆さん、グッドジョブ。さらには超能力に長けた宇宙人の皆さん、初めまして。今回から始まる、大型インターネットニュースショー『ぺこりの暴言ステーション』。メインキャスターのよろしくま・ぺこりでございます。作品のつながり上、一人称はおいらとさせていただきます。召し上がれっと。さて、番組に花を添えてくれるのは、この方です。
「女優の水沢舞子です。普段は映画やドラマ、舞台をしています。こう言ったお仕事は初めてなので、とてもワクワクしています。いろいろな経験をさせていただいて、何事も吸収できたら、今後のお芝居の糧になるかと思っています。よろしくお願いします」
はい、舞子ちゃんありがとう。でもね、ちょっと字数オーバー。こういう番組はスピード勝負だから、言葉は簡潔にね。
「はい。申し訳ございません」
そこそこ! 「はい」だけでいいのよ。
「はい」
それでよろしい。
では、最初の話題です。この冬、北海道では大変な暴風雪に見舞われ、ホワイトアウトなども起こっているそうです。『ホワイトアウト』なんて言うと、おいらは「真保裕一かよ」と思ってしまいますがね。
「ぺこりさん、真保先生を読まれるんですか?」
一冊だけ読んだよ。オチは面白いんだけどさ、文章が下手くそで読みにくいの。二度と読むか! と思ったよ。
「そんな暴言を……」
舞子ちゃん、この番組は『暴言ステーション』。SNSじゃないから、ちょっとくらい悪口言っても大丈夫。だいたい、この作品、ほとんど読まれていないからね。
「はい」
いいお返事だ。では中継です。おいら、地理に弱いんで、詳しい場所はわからないんですが、すごい、雪の中に、レポーターのかっぱくんがいます。かっぱくーん。
「ぺ、ぺこりさん……助けてください……」
どうした!
「さ、寒さで、頭のお皿が凍りました……」
は、早く、熱湯をかけてもらえよ。
「そ、それが、風も強くて、火がつかない。それに、ディレクターさんが吹雪にあおられて消えてしまいました。A.D.さんも凍死寸前です」
すぐに、撤収! どうも、初っ端から、お見苦しいところをお見せしました。申し訳ございません。
「かっぱさん、迫真の演技でしたね」
舞子ちゃん。それ、SNSだったら大炎上だから。
「はい」
次のニュースです。新宿の歌舞伎町で発砲事件が起こり、男性一人が亡くなりました。
ちなみにですね。歌舞伎町という地名は、本気で新しい歌舞伎座を作るつもりだったから、歌舞伎町って名付けたんですよ。ところが、歌舞伎はこなくて、おかま、いやLGBTの人たちがきちゃったのね。ちなみに歌舞伎座は元の場所に新歌舞伎座を作ったわけですけど、その前後に、働き盛りの名優たちが、どんどん亡くなっていったんですよ。市川團十郎、中村勘三郎、坂東三津五郎……これを“新歌舞伎座の呪い”という人もいまして、この後も何が起こるかわかりませんよ。
話が脱線しました。おいらが思うのは亡くなった男性を元暴力団員って各メディアが紹介するんですよ。これ、おかしくないですか? 現役の暴力団員ならいいんですけど、元ってことは、現在は違う職業か無職ってことじゃないの? あえて元暴力団員ってつけるのはさあ、一度、暴力団に入ると一生ついて回るってことですかねえ? それじゃあ、足を洗って、組から抜けたって更生なんかできませんよね? なんか変だなあ。
気分を変えましょう。スポーツコーナーです。全豪オープンテニスで、錦織圭と大坂なおみが大活躍しています。ここで、おいらはすごいアイデアというか、作戦を立てました。錦織圭&大坂なおみを結婚させちゃおう計画! なんか、あの二人仲が良さそうじゃないですか? 結婚して、子供ができたら、すごいDNAですよ。とんでもないテニスの王子様か王女様が生まれます。できたら、男女の二卵性双生児がいいな。おいらみたいにミュータントではなくて、別々の個体でね。日本テニス協会、いや、松岡修造がさあ、強引に二人をくっつけちゃえばいいんだよ。やっちゃえやっちゃえ!
話は変わりますが、全豪とか全米のハードコートっていやね。何がいやかというと、靴の音が、キュッ、キュッとなるでしょ? あれ昔、学校のすりガラスとかを爪でさあ、キューっとやったようなさあ、発泡スチロールをこすり合わせちゃった時のキュッって音と一緒で神経にくるんですよ。やっぱりテニスはウィンブルドンのグラスコートか、ローランギャロスのクレーコートがいいなあ。おいらが神和住純と日本ランキング一位を争っていた頃は、全豪もグラスコートだったような気もするんだけどな?
さて、舞子ちゃん。ここまでどうでした?
「まずは、かっぱさんがかわいそうでした。ぺこりさんはクマなんだから、ぺこりさんが行けばよかったのにと思いました」
ああ、舞子ちゃんゴメン。おいら、冬の北海道に行くと自動的に冬眠しちゃうんだ。あとは?
「ぺこりさんばっかり喋るので、あたしの出番がない!」
さすが、女優だ! 貪欲だねえ。でも、これは、おいらの番組なのさ。采配はおいらがふるうの。将門の血が滾るぜ!
では、芸能。
須藤凜々花さん、芸能界引退だってさ。舞子ちゃん知ってる?
「あたしは女優なので、そっち方面のお友達はいません」
そうなんだ。おいらはね、誰が芸能界をやめようが構いませんがね……いや、結衣ちゃんや浜辺美波ちゃんがいなくなったら嫌だな。
「あたし、新垣さんとはドラマで、美波ちゃんとはチョコレートのCMで共演してます」
えーっ、早く言ってよー。
まあいいや。須藤凜々花さんだっけ、芸能界やめて、大学に入って哲学を学ぶとかおっしゃってるんですけど……はあ? 哲学! おめえ、哲学なめてんじゃねえぞ。あんなもん、常人のわかるもんじゃねえんだ。この、クマの中で最も知能指数が高い、おいらですらわかんねえんだぞ。それにおめえ、去年大学受験失敗してんだろ。そんな、かっぱみたいな小ちゃな脳みそでなあ、哲学とか語ってんじゃねえよ! ふわー、喘息出るわ。
「ぺこりさん、偏見はいけませんよ」
そ、そだね〜。言い過ぎました。
あと、芸能の小ネタ。伊集院光さんのラジオで、ゲストが来ないというハプニングがあったんだって。これを聞いてさ、思い出したのが、アンジャッシュのコント。シチュエーションが全く一緒なの。伊集院さんの方は、次の番組のパーソナリティーさん(お名前、失念)が来てくれて助かったらしいんですけど、アンジャッシュの方はさあ、ははは。腹よじれる。
「どうだったんですか?」
そんな、他人のネタを言えるわけないでしょ!
「えー、残念だなあ」
さて、今日はパイロット版なんで、お天気予報をやって終わりましょう。気象予報士のかっぱくーん。
「…………」
放送事故ですね。
「それより、クルーの皆さんの安否が気になります」
たぶん、平気でしょ。さて、こういう時のために、本物の気象予報士、ヒライさんをお呼びしてあります。
「こんばんは!」
ああ、ヒライさん。読者さまは夜見るとは限らないので、挨拶を変えてもらえますか?
「そうですか……おはこんばんちは!」
ふ、古い。まあいいや。ヒライさん、明日の天気はどうでしょう?
「ぺこりさん! あなたの言い草ですと、読者さまにとっての、明日とはいつのことか、わかりません。だから、明日の天気は、わからないでしょう」
そ、そうですね。それにしても、ヒライさん、NHKさん以外に出演して大丈夫なんですか?
「はあ、私、ヒライはヒライでもケン・ヒライですから」
ヒゲ剃った? わからんかったわ。じゃあ、エンディングに一曲頼みます。
「JASRACに怒られるので無理です」
そうかい。じゃあ、帰って!
さあ、おしまいです。舞子ちゃん一言!
「チャンネルはそのまま!」
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