第29話 それでもいきていかねばならんのだ。とつぜんし、しなければねの話

 やあ、おいらです。


 空はこんなに青いのに、おいらの心は晴れません。


 増えるのは 脂肪の量か ため息か


 とうぶん、この駄文も書くの控えようかと思ったのですが、そういう時に限って、脳みそに文章の波が襲ってくるんですよねえ。それが、フィクションの波ならどんなに良いことか。でも、襲ってくるのは駄文の嵐。あらし〜あらし〜あらしぃ。


 気分は重いですが、横浜銀行に行って、家賃を振り込まなくてはなりません。締め日は二十七日なんですけど、日曜日でしょ。土曜日はダメじゃない。金曜日もさ、向こうさんの口座に届かないからアウト。今日か明日しかないわけですよ。あたしゃ、宵越しの金は持たねえよ、じゃないですけど、おいらは心に重いものがあるというか、やらねばならないことをギリギリまでおいておくことができないの。だから、KAT-TUNにはなれない。赤西くんが脱退した時さ、ジャニーさんに「ユー、入っちゃいなよ」って言われたけど、おいらの苗字Aじゃないからって断りました。内心は亀梨くんしか必要とされていないグループに入っても得はない。おいらはタッキーについて行こう。と思ったの。中丸くん、上田くん、ごめんね。でも二人とも頑張ってるよね。それなりに……


 さて、久しぶりに外出することにしたわけですが、一つ、心配事が。「ズボン、入るかなあ?」だって、おいら最近、目に見えて体重が増えてんの。まさにブクブク。クラムボンですよ。前に、病院のトイレで、ズボンが入らなくて、冷や汗かいたって書きましたよね。ああ、前作かな? それの再来を恐れたわけです。ところが、するっと入りました。「うーん、脂肪は腹回り以外に行ったのかな?」とっても不思議。まあ、いいやね。そいでさ、支柱を一本失った入れ歯にポリグリップをたっぷり塗ってガチガチにして出かけたの。そうしたら、近所の公園に紅梅と白梅が一本ずつ咲いていて、「寒中なれど、春遠からじ」なんてね。おいらは俳人ではありません。廃人です。


 横浜銀行で、振込をしたら、もう残高がいくらもない。ちょっと余裕があれば引き落としたかったんですが、無理です。

 それから、明日の朝のパンを買うためにダイエーに行ったんですが、おいら本当に買い物嫌いだ。なぜなら、余計なものを買ってしまうのよ。いっつも後悔する。しかも、食品ばっかり。いや、仮に三階のキャンドゥに行ったら、そこでもムダ遣いするよ。バカだからさ。だから行かない。


 午前中の店内はご老人とベビーカーばっかりでさあ。おいらみたいな廃人はいないね。で、お会計。えーと、昔、ビジネス書の担当をしていた時に、立ち読みした本によると、レジの列に並ぶ時は、ご老人のいない列に並びなさいと書いてありました。ご老人はどうしても動きが遅くなっちゃうから、代金を払うのに手間取ったり、ラジバンダリしちゃうからだそうです。それで、おいらはレジ周りを俯瞰します……ご老人しかいません。この場合はどうすればいいのでしょうか?

 それでも、本当にトロい、ジイさんとテキパキしたバアさんがいますから、おいらは目ざとく進みの早いレジを選びました。本には書いていなかったけれど、キャッシャーの能力だって重要ですよね。おいらの選んだレジのキャッシャーさんはテキパキしていました。これがさあ、夕方に行くとトロいキャッシャーがいるんですよね。いいえ、必ずしも学生ではありません。おばさんでトロい生き物もいますよ。おいら、人間観察には優れているんだ。クマの嗅覚だね。


 なんか、帰り道にぼんやりと大学生の頃を思い出してしまいました。一、二年の間は本当につまらなかったです。まず、こんな性格だから友達ができないのよ。なんか、周りの人は半分くらいが付属高校からのくり上がりで、そいつらで固まっちゃう。あとは浪人生が多くて、現役で合格しちゃった優秀なおいらはガキ扱いされるのさ。なんかの授業で、「隣の人と楽しく会話しましょう」って先生が言うので、「やったあ、友達できるかな?」と思ったら、男ばっかりの教室なのに、なぜか、おいらの隣は女子学生。それも、ワンレンボディコン! チェリーボーイのおいらは赤面するばかり。それでもさあ、一回ノート貸してあげたよ。でも、その人、いつしか学内で見かけなくなりました。九州の出身って言っていたけど、とんこつラーメンが恋しくなっちゃったのかな?

 三年になると待望の図書館学の授業が受けられるようになって、ちょっと楽しくなりました。だって、おいら経済学部だけど、経済嫌いだったしね。それから大学図書館の学生職員になったので、知り合いが増えて、孤独から解放されましたよ。まあ、中には面倒なやつもいたけれど、おいら、猛獣使いだからさ。うまく、あしらってやったわ。そのうち、利用者の一人に恋しちゃったんだけど、悲惨な結果が待っていました。

 おいらさあ、元妻によく、「あんた、どっかにロシアの血が入ってるんよ」とか言われるの。つまりはかっこいいってことかな? 自分で言うのもなんですけど、単純に顔だけみれば、おいら整っているよ。ああ、体型とかは見ないでね。でもねえ、モテなかったねえ。結局はねえ、容姿ではなくて性格なんですよ、重要なのはさ。とにかく性格ですよ。男は一緒にいて楽しくないとモテないの! 世の若者に言う。洒落っ気よりも話芸を磨け!


 まあ、そのことに気がつくのが、おいら遅すぎたよ。もう、上の歯がほとんど抜けちゃってさ。まさに老化現象。どなたか、介護をお願いします。若くて美しい方を希望します。お金は払えません。

 では。

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