第4話 にちようのあさのにゅーすしょーはなにをみるかもんだいの話

 やあ、おいらです。


 なんと言いますか、おいらは早期覚醒しちゃうので、どうしても早い時間からTVを観てしまうのです。平日はさあ、どこの局もニュースショーを早朝四時から放送してくれているので問題ないのです。おいら、ニュースが大好き。土曜日は選択肢が減っちゃうけれど一応ニュースショーをやっているから大丈夫。でも、日曜日ってたぶん、放送法か何かでニュースは少なくてもいいって決まっているんでしょうね。朝に観るものがなくて困っちゃっていたんです。通販番組なんて興味ないからね。仕方がないからずっとNHKさんを観ていたのです。でもねえ、正直、面白くない番組が多いのさ。ところが、気づいちゃった、気づいちゃった。わーいわい! デッカチャンだよ。僕みたいに太っている人は……悪かったな! 太っててよ。そうではなくて、気がついたの。テレ朝系で、六時前から、東山紀之先輩がメインキャスターのニュースショーをやっていることに。で、観ているんだけどさあ、思ってしまうんですよ。「ヒガシ先輩の存在価値ってある?」なんか、とても眠そうだし、あんまり、気の利いたこと言わないしさ。あと、とても強く感じるんですけど、中央大学の野村先生、TV出過ぎじゃない? ミヤネのもいるし、『ニュースエブリー』にもいるし、なんか、毎日顔をみるわけよ。大学教授って暇なのかなあ。特に法学部なんて、論文を書いたりしないんだろな。そのうち、選挙にでも出るんじゃない? TVに出るとあっという間にQ太郎ではなく、知名度が高まりますからねえ。


 ええ、そうですね。一般的には『サンデー・モーニング』を八時から観ますよね。かなり、リベラルだけどさ、あの番組。『シューイチ』ですか? あれはなあ、バラエティーではないの? ジャニーさんところの中丸くんが出ているしね。

 でもねえ、おいら正直に言うと『サンデー・モーニング』あんまり、観たくないんですよ。いや、別に、関口宏は嫌いではないです。髪の毛の色がさあ、白髪の部分、なぜかベージュに染められているのがへんちくりんですけど。ところが、一般的には関口さんって人気ないんだって。ネットのニュースで見たんですけど、好きっていう人は四割もいない。あとの人は嫌ってるみたいよ。だいたいさあ、関口さんって、俳優崩れじゃない。お父さんは偉大な俳優だし、自分だって、『江戸を斬る』の後半の方で、同心役で出ていたよね。まあ、大根役者ですけどね。もう、今じゃ関口さんが俳優だって知らない人も多いのではないでしょうか? まあいいや。それより、おいらが観たくない原因は張本勲ですよ。ハリさんね。なんか、頭が硬いんだよな。年寄りってことだね。日本プロ野球で唯一、三千本安打を達成しているんだからさ(イチローのことは置いといてね)、もっと鷹揚に構えていてもいいのではないかなあ。ただね、ハリさんさあ、努力はしているみたいなんですよ。絶対に知らなそうなスポーツのこともコメントしている。勉強に怠りはないみたいなのさ。でもなんか威張っているみたいでさ。浪商時代から喧嘩っ早かったみたいね。皆さまはハリさんが元々はパ・リーグの東映フライヤーズの主力選手だったって知ってますか? その時からずっと、背番号10なんだよ。でも、チームが、日拓ホームに買収され、さらにたった一年で今度は日本ハムに身売り、ニックネームも伝統あるフライヤーズから今のファイターズに変えられちゃったわけ。「野球は儲からない」と言って一年で逃げ出した日拓ホームってブラックな企業だよね。今もあるのかしら? この出来事のせいで、ライオンズを買収する計画を立てていた、アメリカ資本のペプシコーラは「パ・リーグは信用できない」と言って、撤退しちゃって、「俺が責任とる」って大見得切っていたオリオンズの中村オーナーがやむなく自腹を切ってライオンズを買い取るという茶番が起きたことは前作で評判の悪かった根本陸夫さんの話で触れましたが、このファイターズ誕生によってハリさんの人生も大きく変わるわけです。ファイターズの首脳陣は新しく監督に就任する大沢啓二が采配をふるいやすくできるようにと、一言多いし乱暴なところもある、ハリさんをジャイアンツに、大杉勝男選手をスワローズにトレードしてしまうんです。でも、大沢監督とハリさんって『サンデー・モーニング』のスポーツコーナーのご意見番として仲良くやっていたじゃないですか。変な話ですよ。大杉勝男選手だってスワローズの四番として大活躍。スワローズ初優勝に貢献しています。とてもナイスガイでしたよ。ベイスターズのコーチも務めていましたが、その途中で体調を崩して休養。結局はガンで若くして亡くなってしまいました。正直、悲しかったです。ああ、おいらが思うにこの二人のトレードはコストカットのためのリストラだったのではないかということです。パ・リーグで黒字を出すなんて、当時は考えられなかったことなのです。

 ハリさんはジャイアンツにおいて、引退して第一次政権を踏み出しながら、球団史上初の最下位に終わった長嶋監督の元で、王選手のあとを打つ、五番バッターを任されます。もうねえ、ジャイアンツはずーっと、五番打者に困っていて、毎年のように他球団から選手をとってきては使ってきたのですが、だいたいが、ベテランというか、ロートルですぐにダメになっちゃっていたのです。でも、なんで自前で育てようという発想が出てこないのでしょうね。それに読売新聞になんでそんなに資金があるのかも不思議。発行部数世界一とかよく読売新聞は自慢していますけれど、広告費で比べると読売新聞は朝日新聞の足元にも及ばないのです。全然関係ないことですが、最近は、あれだけしつこかった読売新聞の勧誘ってきませんね。おいら、師岡ってところの安アパートで発狂したんですけど、隣に読売新聞の配達員が住んでたんです。なんか、生き仏のように優しい人でしたよ。でも、趣味はパチンコで、手癖が悪いんだって。彼の上司が言っていました。その上司がまたいい人で、なんか、壮絶な半生を過ごしたらしいんですけど、詳しくはキチガイでも聴けなかったです。とにかく穏やかで、内心「奇跡の読売新聞販売所」と思っていました。で、その生き神さまはおいらに新聞の勧誘とかしないの。おいらが逆に「読売新聞は読みたくないけど、神奈川新聞なら購読してもいい」って言ったの。そしたら上司の人が「じゃあ、差額を自分が出すんで、形だけ読売新聞とっていることにしてください」っていうわけ。やっぱり、成績が必要なんですね。神奈川新聞じゃ成績にならないんだ。まあ、でもいい人だからさと思って承諾しました。師岡ではおいら、人脈ができちゃってたの。でも、キチガイの構築した人脈だからね。かなり論旨とずれちゃうけど、その頃のおいらは怖いものなしでさ、誰にでも話しかけてしまうの。でも、みんなが笑顔になったね。不思議。でさ、朝の散歩に出かけようとしたら巨大ないぬが道にいるの。おいら、いぬが怖いんですよ。いぬって理由なしに噛んできたりするでしょ。勝海舟なんて、子供の頃、いぬに睾丸を噛まれて死にかけたんだよ。割と有名な逸話真弓。それなのにおいら、巨大ないぬに抱きついちゃった。いぬも大喜び。飼い主さんが「犬が好きなのね」って聞いてくるから、おいらは「いいえ、ものすごく怖いです」って正直に答えたんですけど、「まあ、ウソおっしゃい。冗談がお上手」とか言って信じてもらえませんでした。ははは。躁病って怖いねえ。


 ハリさん、ハリさん。ジャイアンツでハリさんは期待通りの活躍をして、長嶋さんを胴上げするんですけど、個人的には首位打者になり損なったりしてタイトルには届かなかった。首位打者は谷沢(ドラゴンズ)に負けたのかな。

 で、何年後だったかなあ? 長嶋解任前だから五年は経っていないと思うのですが、突然、ハリさんはオリオンズに移籍になります。ハリさんはご立腹でしたが長嶋さんが「この移籍は君のためであり、オリオンズの若手のためでもある」とかなんとか言ってなだめて納得させたとか。

 オリオンズでハリさんは三千本安打を達成するのです。


 ここで、ちょっとデリケートな話を。ハリさんは在日朝鮮人の二世です。だから、ひどい差別も受けてきたようです。一番ひどいのはジャイアンツの時、広島市民球場で、差別的なやじを飛ばされて、怒ったハリさんが乱入してきた客を殴ったとか、殴らなかったとかで、警察の事情聴取を受けるハメになったことでしょう。今はカープ女子とか言って、人気の高いカープですが、広島というのはさあ、『仁義なき戦い』の舞台ですよ。深作欣二監督ですよ。荒っぽい土地柄だったのさ。ちなみに、ハリさん、広島出身。被曝もされているのですよね。硬派な人間になるのも仕方ないか?


 で、タイトルの結論。『サンデー・モーニング』を観るか、寝過ごすかの二者択一ってことでどや?

 ではまた。

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