第3話
親友との通話が終わって一時間程が経った今の時間は十七時になっていた。
俺はあの後彼女に『もう一度話がしたい』とメッセージを送信した。しかし、返信どころか既読すらない。
「どうしたもんかなぁ…」
俺はもう一度彼女と付き合いたい。しかし、彼女は恐らくそんなことは望んではいないのだろう。
自分でも自己中心的な考え過ぎて胸糞悪いが人間なんてそんなもんだろう。他の人を第一に考えられるのはお人好しの馬鹿くらいだろう。
それにしても返信がこない。一時間も経ったら流石に既読くらいはつけてくれてもいいじゃないか…。
「もしかしてブロックされた…?」
これは流石に想定していなかった。ブロックされているのならどうしようもなくなる。
冬場だというのに背中にじんわりと汗をかいていた。エアコンのリモコンを操作して設定温度を幾らか下げる。
読んでいた漫画を閉じて携帯のメッセージアプリを起動する。
すると彼女から返信が一件だけ来ていた。
「来てるじゃん!なんで気づかなかったんだろう…」
試しに携帯の側面を確認すると案の定マナーモードになっていた。
「そりゃ通知音鳴らないよな…」
緊張をほぐそうと無理やり口角をあげて笑った。深く息を吸って、吐く。緊張は一向に解けないがもう腹をくくるしかない。
昨晩から一度も開けなかった彼女のトークを開いてメッセージを確認する。
『話ってなに?』
その一言だけだったが連絡をとれたことに安堵した。
キーボードを少し震えている指でゆっくりとタップする。胃がきりきりと痛む。
高校の合格発表の時よりも緊張している。たっぷりと時間をかけて文字を入力し終えた。
後は送信するだけだが、送信をタップする前に躊躇してしまう。本当に送っていいのだろうかと。
覚悟は決めていたつもりだったのだが、いざとなるとやはり恐怖が生まれてしまう。これ以上嫌われたくないと、どうせダメだからやめたほうがいいと。
そんなことはわかってる。でも、もしも、まだ可能性があるのならそれにかけたい。彼女が幸せだと思う未来に俺が居られるのなら、居られるために何かできるのであれば俺はやらなければならない。
俺は彼女に一件のメッセージを送信した。
『明日、会って話がしたい』
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