第79話

リナは決心した。駄目元だ。あれからもう 随分と年月が経っている。自分も千帆も今はもう五十代だ。吉永だって生きていれば今はもう七十近い。だったら…。       リナは千帆に手紙を出す事にした。吉永の事が知りたい。入院して、その後どうなったのか。そして、あの女の子が吉永の娘かどうか。もしそうなら吉永はどんなに喜んだだろう。例え短い間だったとしても。それとも、奇跡的に生きているかもしれないし。   本当なら富貴恵にこの事を話すのだが、  リナは今では彼女と付き合っていなかった。富貴恵はその後、ドミンゴが閉店した後は他店ではどこもホステスとして雇ってもらえず、仕方無く風俗系の店に行った。そこで、客で年下の男と結婚した。そして仕事は止めて主婦に転身。             それから一度、その相手も含めて三人で会った。気の良い旦那でリナとも馬が会い、意気投合して楽しく飲んでいる内に、富貴恵が物凄くヤキモチを焼いて大騒ぎをした。リナと夫を相手にしつこく、大袈裟に文句を言い始めると治まらず、中々帰れなくなってしまった。昔、吉永に名刺をしつこくせがんだ時の様に、大変にしつこかった。       リナはこのことでとても嫌気がさした。それからは互いに連絡をせず、二人の仲は自然消滅した。                さて、リナは考えながらペンを取った。そしてなるだけ簡潔にしようと注意しながら文を書いた。その中には自分のメールアドレスを書いた。だが、普段使っている物ではなく 取りあえずこの為に作った。そして、手紙は出来上がった。             さあ、これで伝わるだろう?これを見て無視するかもしれないし、じゃなきゃ何かを知らせてくれるかもしれないし。       リナはその手紙を千帆の店に出した。

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